2023年、アマチュア無線の免許について大規模の制度改正が行われました。この制度改正による変更点とその影響をまとめてご紹介します。
私たちアマチュア無線愛好家にとって、この制度改正がどのような意味を持つのか、具体的な変更点とそれに伴う影響を分かりやすく解説します。特にカムバックハムの皆さんに知っていただきたい制度改正のポイントを紹介したいと思います。
アマチュア無線は、その自由度や技術的な魅力から多くの方々に愛されています。しかし、制度改正によってどのような変化が生じるのか、理解することは重要です。この記事では、情報を正確かつ簡潔にまとめ、アマチュア無線制度の変更点について理解を深めるお手伝いをしたいと思います。
関連記事:この記事は、CQ ham radio23年12月号~特集”アマチュア無線お役立ち情報~毎年恒例カムバックハム企画”を深掘りして制作しました。
1 アマチュア無線の免許:制度改革による利点と変化
1-1 制度の問題点と改革の必要性
これまでのアマチュア無線の免許制度にはいくつかの問題点があり、制度の改正が望まれていました。
まず、無線通信に使用できる周波数帯域が限られており、多くのアマチュア無線愛好家が帯域の不足を感じていました。また、免許の取得や更新には一定の費用や手続きが必要であり、これが無線愛好家の間でハードルとなっていました。
1-2 制度改革によるアマチュア無線の利点と変化
2023年の制度改正により、アマチュア無線の利用がより柔軟になり、より多くの人々がアマチュア無線を楽しむことができるようになりました。具体的には、以下のような変化が期待されます。
- アマチュア無線の免許取得条件が緩和されることが予想されます。これにより、より多くの人々がアマチュア無線を始めることができるでしょう。
- アマチュア無線の普及が促進されるとともに、無線愛好家の活動の幅も広がることが期待されます。アマチュア無線は、防災活動やコミュニケーション手段としても重要な役割を果たしており、制度改正によってその価値がさらに高まることでしょう。
- アマチュア無線の技術が進歩することも期待されます。新しい周波数帯域の割り当てや、より高速で安定した通信が可能になる技術の導入が予定されています。これにより、アマチュア無線の利用範囲が拡大し、より快適な通信が可能になるでしょう。
- アマチュア無線の国際的な交流が促進されることも期待されます。これは、他の国のアマチュア無線愛好家との交流がより活発になることを意味します。国際的な交流は、新しい友人や文化の理解を深める機会を提供し、アマチュア無線の魅力をさらに高めるでしょう。
以上のように、2023年の制度改正により、アマチュア無線はより多くの人々にとって魅力的な趣味やコミュニケーション手段となることが期待されます。アマチュア無線の利点と変化を理解し、新たな可能性を追求してみてはいかがでしょうか。
1-3 アマチュア無線の免許制度改革の日程
2023年の制度改正には、いくつかの日程がありました。まず、2022年12月に改正案が公表され、2023年1月から3月にかけて、関係者からの意見募集が行われました。その後、2023年4月には改正案が正式に発表され、同年10月から新制度が施行されました。
2 アマチュア無線の免許:制度改革についての具体的な内容
アマチュア無線の2023年の制度改正により、以下のような主なポイントが変更されました。
2-1 無線局の「再免許」 申請時期の変更
アマチュア無線の免許の有効期間は免許の日から5年間です。 再免許を受けたい場合、 従来は「有効 期間満了の1年前から1ヵ月前まで」に申請を行わな くてはなりませんでしたが、 今回の法改正で 「有効期 間満了の6ヵ月前から1ヵ月前まで」に変わりました。
2-2 免許申請書が簡略化
無線局免許申請書のフォーマットが大幅に変更され、特に空中線電力 50W以下で、 技適 (技術基準 適合検査、工事設計認証) を受けたアマチュア無線機を使用する個人に向けた、 ライトユーザー用の申請書は記入項目が大幅に簡略化しました 。申 請書の記入ミスが減り、 地方総合通信局の免許処理 業務のスピードアップも期待されています。
2-3 電波型式、 周波数、 空中線電力の一括表示記号の導入
申請書の記載や免許状表記の簡素合理化のため、 無線局免許状などの 「電波の型式、周波数及び空中 線電力」の欄は、例えば 「4AM」 (4アマの移動する局)、 「1AF」 (1アマの移動しない局) といったように周波数等 の一括表示記号で記載されるようになりました。
ただし実際には、 工事設計書に記載した無線設備 で発射できる周波数以外は使用できませんし、 工事 設計書の記載はこれまでどおり必要で、無線設備の 取替や増設、 撤去、変更などの場合には申請または 届け出が必要です。
2-4 無線従事者免許とアマチュア局免許の同時申請が可能
国家試験や養成課程講習会の修了試験に合格し た場合、無線従事者免許証の申請と、 アマチュア局 の開局申請が同時に行えるようになり、 合格から開局までの時間を大幅に短縮できるようになりました。上 級資格を取得した際も、その無線従事者免許申請と 無線局の設備変更手続き(無線機の増設や取り替え によるパワーアップ) を同時に行うことが可能です。
2-5 無線機の追加など免許手続きが簡単に
長くアマチュア無線を楽しんでいると、 新しい無 線機を手に入れたり、 古い機種と取り替えるといった ことがあります。 従来はその都度、 無線設備の変更 申請を総合通信局に提出しなくてはなりませんでした が、 今回の法改正で、 技適を受けた無線機を増設・ 取り替え・撤去する場合は、その旨を届け出るだけで 済むようになりました。
また無線機にある外部入力端子に、 デジタル通信 用のPCや画像通信用のビデオカメラなどを接続して 通信を行う場合は申請や届け出が必要でした。 しか しこちらも今回の法改正によって、 免許を受けて 無線機の外部入力端子に「特定附属装置 (PC、 マイク、 ファクシミリ、 ビデオカメラ、 電鍵)」を接続して運用 する場合、電波型式が変わるだけなら特別な申請や 届け出は不要になりました。
2-6 「移動しない局」は電波防護指針の計算と適合確認が必要
アマチュア無線局の「移動しない局」 のうち、 平均電力が20mWを超える局は、無線設備から発射する電波の強度が、人が通常出入りする場所において 電波防護指針の基準値以下であることを確認した書 類 (電波の強度の算出資料など) を申請書に添付する ことが義務づけられました 。
電波防護指針に基づく基準値に適合していることの確認書類について (移動しない局が対象)はコチラへ
これから50Wを超えるような「移動しない局」を開設したり、現時点で免許を受けている 「移動しない」局の無線設備の変更を行う場合は、この書類が必須となります。
電波の強度が基準値以下であることを確認する方 法は、 総務省電波利用ホームページにある 「電波防 護のための基準への適合確認の手引き」に記載さ れ、簡易的な適合確認プログラム (Excel形式) も 意してあります。
なお11月17日発売の「別冊 CQ ham radio QEX Japan No。49」 では、移動しない局の電波防護指針の 考え方と書類作成についてを詳しく解説しています。 ぜひ参考にしてください。
2-7 二次業務の2400MHz帯と5600MHz帯は確認書類が必要
アマチュア局の二次業務の周波数のうち2400MHz 帯および 5600MHz帯が発射可能な場合は、申請時 に「1次業務の無線局に有害な混信を生じさせること がないよう、 適切な措置を執ることができるものであ ること」 を確認できる書類の提出が必要になりました 。
確認書の提出について(2,425MHz帯及び5,750MHz帯)についてはコチラへ(総務省電波利用ホームページ)
二次業務の周波数の使用に当たっての確認書(例)(リンク先Wordファイルを開きます)
※たとえば、アイコム製のIC-905等を使用して、1.2/2.4/5.6/10.1GHz帯の免許申請の際には、アイコム社のホーム頁には「免許申請の際には総合通信局等へ確認書の提出が必要となります。」との記載があります。(アイコム社のホーム頁はコチラ)
2-8 その他の改正点
その他の改正点には、アマチュア無線の交信体験機会の拡大、教育活動や研究活動でのアマチュア無線の活用の明確化、非常時や緊急時の通報等で「他人の依頼による通報」が可能になることなどが含まれます。
まとめ
2023年の制度改正により、アマチュア無線の免許にはいくつかの変更点があります。
例えば、新しい周波数帯域の割り当てや、技術レベルに応じたライセンスの区分などが導入されます。これにより、アマチュア無線愛好家はより多様な通信体験を楽しむことができる一方で、新たな技術へのアクセスも広がります。
この制度改正は、アマチュア無線コミュニティ全体に影響を与えることが予想されます。
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