JA3CGZ直伝!7MHz帯ダブルバズーカアンテナ製作の極意とその動作原理

当ページのリンクには広告が含まれています。
ダブルバズーカアンテナ

ダブルバズーカアンテナを約1年間使ってみて手応えがあったのでお奨めしたいと思い記事にまとめました。

最近のHF帯、特に3.5MHzや7MHzのローバンドで使用している方が多いようです。当局も使用されている方と時々交信しました。非常に効率が良く、簡単に作れるアンテナなのですが、あまり広まっていないようです。

その理由は「ダイポールなどに比べて、ちょっと複雑そうで自作が面倒そう」といった程度のことではないかという気がします。
でも、「よく飛んで受信も良い」と聞くとその気にならない人はいないでしょう?!

私も約1年間試してみましたが、北米、EUとも楽に交信ができるなど手応えを感じました。
  その記事はコチラです。➡「欧州と交信できた!~「よく飛ぶ」と定評のダブルバズーカア

ダブルバズーカアンテナは、たいへん簡単に設置出来て、結果が良好でしたので皆さんも是非チャレンジされると良いと思いました。
まとまった記事がなかなか見つからなかったので、詳しく、分かりやすく説明した記事を作ってみました。

これを見て「こんな簡単なのか!?」と思ったら、早速チャレンジしてください。

スポンサードリンク
目次

ダブルバズーカアンテナとはどんなアンテナか?

形式はダイポールと同じで、左右のエレメントとして同軸ケーブルを使い、各同軸ケーブルの先端はショート、その先に同調用のヒゲ(単線)が付きます。

ダブルバズーカアンテナ

ダブル・バズーカ・アンテナは、通常のダブレットにスタブを付加して広帯域化したもので、コアキシャル・ダイポールとも呼ばれます。

もともとは、レーダー用としてMIT(マサチューセッツ工科大学)で設計されたアンテナだそうです。

材料はエレメントに使う同軸ケーブル(3D2V・5D2V・RG58Uなどが最適)と、電線などがあればOKです。ダイポールを作るときと大きな違いはありません。
バランも入れる必要は特にありません。

従来のダブルバズーカアンテナ

外国の記事を見ているとこの形が多い様です。

従来のダブルバズーカアンテナ(直列スタブ)

改良型ダブルバズーカアンテナ

スタブを並列型に変更した改良型が今日本でたくさん使われているタイプです。

改良型ダブルバズーカアンテナ

ダブルバズーカアンテナの動作原理と特徴

各同軸ケーブルの長さは、同軸ケーブルの波長短縮率×λ/4です。

ダブルバズーカアンテナの説明および計算式と実際の長さを示した表をお届けします。

見た目には1/2λダイポールアンテナと同じですが、同軸ケーブルでおのおのの周波数に同調したセクションを有していて、高調波成分や不要な周波数成分の輻射が押さえられてインターフェアー対策にも有効なようです。

また、普通のダイポールと比較して同調している部分があることによってそのバンドだけが効率よく輻射されるので、使ってみるとダイポールより若干ゲインがあるような感じを受けます。

張り方ですが、全くの水平ですと給電インピーダンスがダイポールと同じように75Ωに近づくのでむしろ逆Vの方が給電インピーダンスを50Ωに近づける意味でBetterです。
もちろん水平でも問題はありませんのでCase by caseで架空してください。

 

動作原理

電気長λ/4の同軸ケーブルの先端をショートすると、反対側の端ではインピーダンスが無限大になります。つまり、ダブルバズーカの給電点では、エレメントとして接続したλ/4の同軸ケーブルの心線とシールドの間の高周波のインピーダンスは無限大になり、電流は流れないことになります。

各同軸ケーブルのシールド部分には普通に基本波が載っていますが、同軸ケーブル部分の長さは電気長で、実際には物理的な長さが足りないので、同軸ケーブルの先端にヒゲを付けて、普通のダイポールと同じ長さにして同調させます。つまり、同軸ケーブルは基本波に対して並列同調回路として動作、波が載っているのは同軸ケーブルのシールド+先端のヒゲという形式で、ダイポールと同じです。

あと、調べていてわかったのは、外国の記事では、給電点は外皮とシールドを剥いて、中心導体+絶縁部だけにして、中心導体はつなげたまま、左右のエレメントのシールド部分に給電しているのに対して、国内の記事では、左右の同軸ケーブルは切り、互いにシールドと中心導体を交互に接続し、その上で左右のシールド(+反対側の心線)に給電しているということですが、同軸ケーブルの中には電流が流れないので、どちらでも大丈夫なようです。

メリットとデメリット

メリット1:広帯域

ダブルバズーカが動作上ではダイポールと同じなのに、なぜ広帯域なのかは詳しく検討していませんが、元々ダイポールという共振回路の給電点に、同軸ケーブルによるλ/4共振回路が二つも直接接続されていることで、スタガー同調(複数の共振回路を並列に接続してQを低めて広帯域化する)になっているのかな、と想像しています。しかも、各共振回路はスタックアンテナと同じように他の部分で立った反射を互いに吸収することから、送信機から見たSWRも良好になり広帯域化に寄与します。

このダブルバズーカアンテナは帯域も広くとれて、周囲に何もないような条件の場所に設置すれば、7M用の場合地上高が10m位でしたらバンド内がSWR=1.5以内に収まります。

ダブルバズーカアンテナとダブレットの帯域幅比較

ダブルバズーカアンテナとダブレット(スタブ無し)の帯域幅比較

スタブのない通常ダブレットや従来のダブルバズーカアンテナに比べて、改良型ダブルバズーカアンテナは帯域幅が広くなっている事がわかります。

 

メリット2:偶数高調波が出にくい

同軸ケーブルによるλ/4の共振回路は、偶数次高調波(x2、x4…)に対してはλ/2の共振回路として働き、λ/2モードではインピーダンスが0となって短絡されるので、ダブルバズーカは偶数次高調波が出にくいアンテナとも言われています。

メリット3:奇数倍の周波数で共用が出来る

このアンテナは、希望周波数の奇数倍に当たる周波数も同調するので、たとえば7MHz帯の場 合は21MHz帯でも使えるようです。
ただ、21MHzの場合は21.6MHz位に同調しますので完全とはいきませんがカプラ併用で十分使用に耐えます。

3.5MHz用の場合は、18Mがとても良く乗ります。(3.6MHz×5=18MHz、3.6MHz×7倍=25.2MHz)
例えば、3.5MHz用のアンテナを作るとき、18MHz帯での運用を踏まえて、中心を3.6MHzで計算・製作したところ、1本のアンテナで3.5と3.8MHz帯と18MHz帯の共用が可能になったそうです。24MHzにおいては25.6MHz付近で最良な状態になります。

デメリット:メリット2と同じ事になります。

普通のダイポールだと例えば7MHz用のアンテナで3.5MHzや14MHz受信した場合それなりに入感しますが、このアンテナは1/2や2倍といった偶数倍に当たる周波数ではかなり受信感度が低下します。これは、メリット2でも説明したように、同調型のアンテナのためゆえです。

 

ダブルバズーカアンテナのしくみ

 
ダブルバズーカアンテナ
ダブルバズーカはλ/4のショートスタブ(同軸トラップ)二本で構成されています。
電気長λ/4の同軸ケーブル2本で構成されたλ/2のショートスタブは、その周波数でインピーダンスが0になるのでトラップ(短絡)として働きます。
このため、反射波だけショートし、バズーカのシールド部分に載る成分だけ輻射されて、反射される成分はトラップで熱になることから、ダイポールと比較して帯域が広いように見えます。
つまり普通のダイポールに、特定の周波数の反射成分を吸収する構成要素をつなげた物です。
同軸ケーブルの先端にIV線を付けて全長をλ/2にします。

制作方法

【同軸エレメント製作】

製作方法は別表に表す同軸長に対して7cm長く同軸を切断します。
これは同軸の加工シロを考慮に入れるためです。
同軸の先端6cmの被覆を剥きます。
網線を1cm程残し約5cm絶縁部分を出します。
中心導体=芯線を約2cm剥きます。
左右のエレメントを互いに交差し絶縁部分を合わせ、おのおのの芯線を反対側の同軸ケーブルの外被導体(以下網線)に接続します。
給電はこの左右の網線部からリードを出して1:1のアンバランス・バランス変換バラン(50Ω用)に接続します。
これは普通のダイポールANTと同じです。
同軸の先端部は約1cmほど剥き、さらに芯線の絶縁部を剥いて網線と芯線とをショートし、ここから不足分のエレメント(追加エレメント)をつなぎます。
追加エレメントはIV線やビニル電線で結構です。
調整はダイポールアンテナと同じ要領で、追加エレメントの先端の長さを調整します。
従い追加エレメントは若干長めにしておくほうが良いでしょう。
しかし、このアンテナは帯域幅が広いので下記の表の長さでそのまま作っても、ほぼ無調整でイケると思います。

【絶縁碍子】

私の場合、アンテナの先端の絶縁物は波形ガイシなど高級なものは使っていません。
ホームセンターで売っているプラスティック製のクサリ(鎖)を1mづつ用意して、ここに計算値のエレメント長より短めに結び余った部分は鎖の中を通しておくことにより見た目にもスッキリ仕上がりFBです。
鎖に結んだ先端部分がいわゆるヒゲの部分が調整用の部分です。
追い込む場合はこのヒゲの長さを調整し、余った部分を通してThat’s all rihgt です。

【防水処理】

給電部・エレメント接続部は自己融着テープなどで防水処理します。
給電部、バランへの接続線は正確にはアンテナエレメントの一部になりますのでできる限り短く処理してください。
10~15cmでしたら大丈夫でしょう。
調整はアンテナエレメントの先端の長さで調整しますからさほど神経質になる必要はありません。

【使用する同軸ケーブルの選び方】

使用する同軸ケーブルは50Ω・52Ω系の同軸ケーブルでしたら何でも結構です。
50Ω系では3D-2V・5D-2V・3D-2W・5D-2Wなど、52Ω系ではRG-58/Uetcです。
発泡系のFBケーブルは変形や強度面などで避けた方がよいでしょう。
1KW以下でしたら3D-2VやRG-58/Uで十分です。

運用パワーが1KWということと、バンド巾を少しでも広くとりたいたいという理由で7メガは5D-2Vを使用しています。
しかし、考えてみればエレメントにしている同軸ケーブルの中心導体には高周波電流は流れないので3D-2Vでも十分のようです。
3.5Mは片側14mの同軸ケーブル長になるので3D-2Vで仕上げましたが、1KW位のパワーでは全く問題はないようです。
JA2QXY、7Mは普段25mHの3エレ八木(5KW仕様)を使っていますが、国内用に5D-2Vで作ったダブルバズーカが張ってあります。

 

エレメントの長さの求め方

波長λの求め方【計算式】
λ=300/f(MHz) m
※ 同軸ケーブル部分の長さ(片側エレメント)
Lcoax=(λ/4)×(同軸ケーブルの速度計数)
2V・2W・RGタイプの50/52Ω系同軸ケーブルの速度計数は理論値で0.67ですが実測値で各メーカーの同軸ケーブルとも0.64~0.66に分布しているので0.65で計算するほうが良いでしょう。
FBケーブルの速度計数は0.8程度です。
下表の計算値は0.65で求めています。
速度計数が異なる場合は計算 式の0.65を変えてください。

片側アンテナエレメントの長さの求め方

Lelement=(λ/4)×(短縮率) m
アンテナ短縮率は架空高にもよりますが理論値では0.97とされて いますが、λ/2以下の高さでは0.95近辺が良い様ですので、下表の計算値は0.95で求めています。
短縮率が異なる場合は計算式の0.95を変更してください。
 
※ 同軸セクション以外のエレメント長(片側エレメント)
Lwire=Lelement-Lcoaxm

片側エレメント長の計算表

  片側エレメント長(m)
短縮率:0.95として
同軸エレメント長(m)
短縮率:0,65のとき
追加エレメント長(m)
短縮率:0,65のとき

中心周波数
(MHz)

波長λ
(m)
Lelement
(m)
Lcoax
(m)
Lwire
(m)
1.910 157.07 37.30 300/1.910×1/4×0.65≒ 25.52 11.78
3.550 84.51 20.07 300/3.550×1/4×0.65≒ 13.73 6.34
3.750 80.00 19.00 300/3.750×1/4×0.65≒ 13.00 6.00
7.050 42.55 10.11 300/7.050×1/4×0.65≒ 6.91 3.19
10.125 29.63 7.04 300/10.125×1/4×0.65≒ 4.81 2.22
14.175 21.16 5.03 300/14.170×1/4×0.65≒ 3.44 1.59
18.118 16.56 3.93 300/18.050×1/4×0.65≒ 2.69 1.24
21.225 14.13 3.36 300/21.200×1/4×0.65≒ 2.30 1.06
24.940 12.03 2.86 300/24.950×1/4×0.65≒ 1.95 0.90
28.500 10.53 2.50 300/28.500×1/4×0.65≒ 1.71 0.79

 

実際には同軸ケーブルが計算値よりも短くなってしまいますので、約3%を加えた長さの方がよいようです。 さらに、加工のために切り出す寸法も加えることを忘れないでください。 
「追加エレメント長」にも、折り返し分「約10cm」を加える必要があります。

実際に作ってみましょう!

実際の作り方がwebで見つかりました。その中から分かり易く参考になりやすいと思った記事や動画をご紹介させていただきます。

同じバンドのダブルバズーカアンテナであっても、詳細な部分は、サイズや製作方法が異なっていますが、それぞれ工夫して製作されているので、そういう所も参考にさせてもらいたいですね?

作り方

ダブルバズーカアンテナ制作講習会 ➡ 記事はこちらから

JARL長野県支部地区講習会で使用された制作の図面など、詳細が記載されています。
参考になると思います。

「武相アウトドア・アマチュア無線クラブ」さんのチャンネルからのご紹介です。

7MHz帯ダブルバズーカの作り方(動画)

「CQNETチャンネル」さんのチャンネルからのご紹介です。

給電部・エレメント接続部は自己融着テープなどで防水処理します。
給電部、バランへの接続線は正確にはアンテナエレメントの一部になりますのでできる限り短く処理してください。
10~15cmでしたら大丈夫でしょう。
調整はアンテナエレメントの先端の長さで調整しますからさほど神経質になる必要はありません。

ダブルバズーカアンテナの設置方法

設置については「欧州と交信できた!~「よく飛ぶ」と定評のダブルバズーカの実力は!」を参考にしてみてください。

SWRの微調整

同軸ケーブルの先端のIV線の先端の長さを調整します。
カットしていくよりも、端を折り曲げておいて調整する方が楽だと思います。
なので、追加エレメント部は若干長めにしておくほうが良いでしょう。

このアンテナは帯域幅が広いので上記の表の長さでそのまま作っても、ほぼ無調整で使えると思います。

まとめ:ダブルバズーカアンテナの作り方

ダブルバズーカアンテナを約1年間使ってみて手応えがあったのでお奨めしたいと思い記事にまとめました。
非常に効率が良く、簡単に作れるアンテナなのですが、あまり広まっていないようです。

材料もダイポールを作るときと大きな違いはありません。バランも入れる必要は特にありません。私も最近試して見ましたが、たいへん簡単にできて、結果が良好でしたので皆さんも是非チャレンジされると良いと思いました。まとまった記事がなかなか見つからなかったので、詳しく、分かりやすく説明した記事を作ってみました。

「当局もダブルバズーカアンテナを使ってます!」というお声が増えるのを楽しみにしたいと思います、

 

#アマチュア無線 #アンテナ #ダブルバズーカアンテナ #CW #SSB #7MHz

スポンサードリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次