2026年10月17日・18日の「体験運用の日」は、地域の子どもや無資格者にアマチュア無線の面白さを手渡す好機です。大切なのは、当日だけ頑張ることではありません。制度のルールを理解し、相手局との連携、会場の動線、説明役の役割分担まで事前に整えることで、安心で印象に残る体験になります。
要約BOX
交信体験制度では、無資格者も有資格者の監督(指揮・立会い)の下でアマチュア局を操作できます。ただし、連絡の設定・終了は監督者が行い、モールス符号による通信操作の体験はできません。成功の鍵は、法令の確認、短い台本、相手局の確保、暑さ・雨・混雑を見込んだ会場設計です。
ターゲット明示BOX
本記事は、個人局・クラブ局として地域イベントや学校行事で交信体験を企画したい方、子どもや初心者に無線の魅力を伝えたい方、体験運用の日に参加・実施を検討している方に向けた準備ガイドです。

10月17日・18日「体験運用の日 2026」を、地域の入口にする
CQ出版の案内によると、「体験運用の日 2026」は10月17日(土)・18日(日)に設定されています。専門誌や各実施局の告知を見て、初めてアマチュア無線に触れる家族が会場を探す時期でもあります。
体験運用は、交信が成立する瞬間だけを見せる企画ではありません。コールサインを聞く、マイクを持つ、遠くの相手から返事が来る、QSLカードやアンテナを見る――複数の小さな驚きを用意すると、年齢や興味が違う参加者にも届きやすくなります。
まずは「誰に、何を持ち帰ってもらうか」を決めてください。無線の楽しさ、災害時の通信への関心、工作への興味、地域外の人との会話など、目的を一つに絞ると、説明と会場づくりがぶれません。
最初に押さえたい制度上のルール
総務省の交信体験制度では、有資格者が自ら開設または構成員となっているアマチュア局を使い、有資格者の監督(指揮・立会い)の下で、無資格者が無線設備を操作できます。体験者は子どもに限られず、定められた条件の下で交信を体験できます。
一方で、連絡の設定と終了に関する通信操作は監督するアマチュア無線家が行わなければなりません。また、モールス符号による通信操作は交信体験の対象外です。この点は、CW好きのクラブ局ほど事前に共有しておきたい重要事項です。
制度は令和5年3月の改正後、従来より柔軟に体験機会を作れる仕組みになりました。ただし、当日の設備・周波数・監督者の資格や操作範囲について迷う点があれば、必ず最新の関係法令を確認し、必要に応じて所管の総合通信局へ相談してください。
| 確認項目 | 実施側のポイント | 当日の対応例 |
|---|---|---|
| 使用する局 | 監督者が開設または構成員であるアマチュア局を使用する | 局免許・コールサイン・責任者を受付で共有 |
| 監督体制 | 有資格者が指揮・立会いを行う | 体験者1人に対し説明役と監督者の位置を固定 |
| 交信開始・終了 | 監督者が操作する | 体験者には挨拶・レポート交換などの担当を案内 |
| CW | モールス符号の通信操作体験は不可 | 音を聞く展示にとどめ、操作体験には使わない |
成功率を上げる、当日までの4週間準備
① 4週間前:目的・会場・責任者を決める
対象年齢、想定人数、実施時間、会場の電源や雨天時の対応を決めます。責任者、無線操作の監督者、説明役、受付・安全確認役を分け、誰か一人に仕事が集中しない体制にしましょう。
② 3週間前:交信相手局を確保する
体験者がマイクを握った直後に返答があると、満足度は大きく上がります。近隣クラブや普段つながりのある局に事前協力を依頼し、呼出周波数、待機時間、混雑時の代替案を共有してください。
③ 2週間前:30秒の台本と機材導線を作る
自己紹介、住んでいる地域、年齢など個人情報を言い過ぎない短い定型文を用意します。マイク、PTT、ヘッドホン、机、椅子の位置を実際に並べ、子どもの身長でも無理なく操作できるかを確認します。
④ 1週間前:リハーサルと安全確認をする
本番と同じ時間帯に短いリハーサルを行い、音量、混信、暑さ、アンテナ周辺の安全、延長コードの転倒リスクを見直します。チェックリストを紙にしておくと、当日スタッフが交代しても品質を保てます。
参加者に「また来たい」と思ってもらう工夫
説明を長くしすぎず、「聞く」「話す」「見る」「持ち帰る」を順に用意しましょう。受信音を聞く前に、相手局がどこにいるかを地図で示すと、電波でつながる実感が生まれます。交信後には、コールサインを書いた記念カードや簡単な周波数表を渡すと、家に帰ってからの会話にもつながります。
声を出すのが恥ずかしい参加者には、受信だけ、PTTを押すだけ、無線機の表示を見るだけの役割も有効です。全員に同じ体験を求めず、「できたこと」を一つ残す設計にしてください。
写真や動画を撮る場合は、保護者の意向と会場ルールを事前に確認しましょう。参加者の氏名、住所、学校名などを電波に乗せないよう、説明役が先に声をかけることも大切です。
開催後こそ、次の無線仲間へつなげる
終了後は、スタッフで交信回数だけでなく、待ち時間、声かけ、暑さ対策、参加者の反応を振り返りましょう。次回に改善できる点を一枚にまとめると、クラブのノウハウとして残せます。
参加者には、地域の科学イベント、公開されている講習会情報、クラブの見学日など、次に触れられる入口を案内してください。体験運用の日を一度きりの催しにせず、地域の電波文化を育てる始点にできます。
よくある質問(FAQ)
Q. 無資格者は一人でアマチュア無線を操作できますか?
A. いいえ。交信体験制度では、有資格者の監督(指揮・立会い)の下で操作します。使用する局や操作範囲など、総務省が示すルールを守る必要があります。
Q. 体験運用でCWを打ってもらえますか?
A. できません。総務省の案内では、モールス符号による通信操作の交信体験は認められていません。CWの音を聞く展示などは、制度に沿って別途工夫してください。
Q. 交信相手局は当日探してもよいですか?
A. 可能な場面もありますが、体験者を待たせないため、協力局を事前に確保し、待機時間と代替案を共有しておくことをおすすめします。
体験運用を実施する手順
- 対象者と、参加者に届けたい体験の目的を決めます。
- 監督者、説明役、受付・安全役を配置し、使用局を確認します。
- 協力局と呼出方法・待機時間を事前に調整します。
- 30秒程度の体験台本と安全な会場導線を用意します。
- リハーサルを行い、当日は制度ルールを守って実施・記録します。
体験する側の目線を知りたい方は、JA3CGZ局のアマチュア無線体験運用案内もあわせてご覧ください。
参考情報




