HF帯のアマチュア無線で、今や主流となったデジタル通信モード「FT8」。かつては高価なインターフェースが必要でしたが、人気のトランシーバーIC-7300なら、なんとUSBケーブル1本だけでPCと接続し、FT8の世界に飛び込めます。この記事では、初心者の方でも迷わずに設定できるよう、無線機とPC、両方の設定手順を図解入りで詳しく解説します。
JA3CGZ/RYO準備するもの
IC-7300でFT8を始めるために必要なものは、驚くほどシンプルです。高価なインターフェースは必要ありません。以下の2つを準備しましょう。
- USBケーブル(A-Bタイプ):PCとIC-7300を接続するための、ごく一般的なUSBケーブルです。プリンターなどで使われているものと同じタイプです。
- アイコム USBドライバー:アイコムの公式サイトからダウンロードできる専用ドライバーです。PCにIC-7300を認識させるために必須となります。


無線機本体の設定
次に、IC-7300本体の設定を行います。メニュー画面から以下の項目を設定してください。設定値はFT8運用の標準的なものです。
| メニュー項目 | 設定値 | 備考 |
|---|---|---|
| 変調入力 | USB | PCからの音声信号を入力します。 |
| ACC/USB AF Output Level | 50% | PCへの受信音声レベルです。WSJT-X側で調整します。 |
| CI-Vボーレート | 19200 | PCとの通信速度です。WSJT-X側の設定と合わせます。 |
| CI-Vアドレス | 94h | IC-7300の初期設定値です。 |
| USB送信 | USB SEND | DTR |





WSJT-Xのインストールと設定
PC側では、FT8通信ソフトの定番「WSJT-X」をインストールし、IC-7300と連携させるための設定を行います。特に重要な「Radio」タブと「Audio」タブの設定は以下の通りです。
Radioタブの設定
無線機を制御するための設定です。
- Rig: Icom IC-7300
- Serial Port: PCに割り当てられたCOMポート番号(デバイスマネージャーで確認)
- Baud Rate: 19200 (無線機本体の設定と合わせる)
- PTT Method: DTR
- Port: Serial Portで選択したものと同じCOMポート



Audioタブの設定
PCと無線機の間で音声信号をやり取りするための設定です。
- Input: USB Audio CODEC (マイク)
- Output: USB Audio CODEC (スピーカー)





よくあるトラブル解決
設定が一通り終わっても、「うまく送信できない」「何も受信しない」といったトラブルはつきものです。ここでは、よくある問題とそのチェックリストを紹介します。
変調が乗らない(送信されない)
- USB SENDの設定は正しいですか?:IC-7300のメニューで「USB SEND」が「DTR」に設定されているか確認してください。
- ALCは振れていますか?:送信時にIC-7300のALCメーターが少し振れるのが正常です。全く振れない場合は、PC側のサウンド設定で「USB Audio CODEC」の出力レベルが低すぎる可能性があります。
受信できない
- ウォーターフォールに信号が見えますか?:WSJT-Xのウォーターフォール画面に、FT8の信号(細い線)が表示されているか確認してください。何も見えない場合は、IC-7300の「ACC/USB AF Output Level」が低すぎるか、PC側の入力デバイス設定が間違っている可能性があります。
- PCの時計は正確ですか?:FT8は正確な時刻同期が不可欠です。PCの時計が数秒でもずれているとデコードできません。Windowsの場合は、インターネット時刻サーバーと同期する設定を有効にしてください。



まとめ
この記事では、IC-7300とPCをUSBケーブル1本で接続し、FT8を始めるための設定手順を解説しました。最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、一度設定してしまえば、そこには驚くほど簡単に世界中の局と交信できる、エキサイティングなデジタル通信の世界が待っています。この記事が、あなたのFT8デビューのきっかけとなれば幸いです。さあ、IC-7300で、世界と繋がる感動を体験してください!






