アマチュア無線の免許申請や更新手続きは、従来は郵送や窓口での手続きが必須でしたが、現在では総務省の電子申請システムを利用することで、自宅のパソコンやスマートフォンから簡単に完結できるようになりました。
本記事では、総務省が提供する電波利用電子申請・届出システムの利用方法を、初心者でも迷わないようにステップバイステップで解説します。
必要書類の準備から実際の入力手順、よくある質問への対応まで、これ一本でアマチュア無線局の免許申請・更新手続きのすべてが分かります。
総務省電子申請システムとは?基本知識を押さえよう

このセクションでは、アマチュア無線の免許申請・更新に利用できる総務省の電子申請システムについて、基本的な情報をお伝えします。
電波利用電子申請・届出システムの概要
総務省が提供する「電波利用電子申請・届出システム」は、無線局の申請・届出をオンラインで行うための公式プラットフォームです。
このシステムを利用することで、アマチュア無線局の新規申請、再免許申請、変更届出など、様々な手続きが24時間いつでも自宅から行えます。
2025年1月のシステムリニューアルで何が変わったのか
令和7年(2025年)1月6日から、「電波利用 電子申請・届出システムLite」が新システムにリニューアルされました。
このリニューアルにより、アマチュア局専用の簡易な手続きページがより使いやすくなり、入力項目が削減されて申請がさらに簡単になりました。
既存ユーザーは、リニューアル前に登録情報の確認が必要な場合があるため、公式サイトで最新情報をご確認ください。
電子申請のメリット:なぜ電子申請を選ぶべきなのか
電子申請には、従来の郵送手続きにはない多くのメリットがあります。
まず、申請手数料が割安になることが大きな利点です。郵送の場合と比べて、電子申請は手数料が安く設定されています。
次に、申請状況をリアルタイムで確認できるため、許可がいつ下りるのか不安に思う必要がありません。また、申請が許可されると、すぐに総務省のシステム上で免許情報を確認でき、無線局の運用を開始できます。
さらに、返信用封筒を用意したり、郵送を待ったりする手間が完全に省略されるため、時間的な効率性も大幅に向上します。
電子申請を始める前に準備すること

実際に申請を進める前に、必要な準備物と環境を整えることが重要です。このセクションでは、スムーズに申請を進めるための準備について解説します。
必要な書類と情報の事前チェックリスト
電子申請を始める前に、以下の情報と書類を準備しておくことをお勧めします。
まず、あなたの基本情報として、氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレスが必要です。
次に、無線局に関する情報として、無線局の設置場所、使用する無線機の型式、アンテナの種類と設置場所、周波数帯などを整理しておきましょう。
既に免許を持っている場合は、現在の免許証を手元に用意しておくと、参照情報として役立ちます。
また、申請内容によっては、建物の図面や設置場所の写真、近隣住民への配慮を示す書類などが必要になることもあります。
パソコン・スマートフォンの環境確認
電子申請システムは、パソコンとスマートフォンの両方に対応しています。
ただし、スマートフォンで申請する場合は、ブラウザが最新版であることを確認してください。古いブラウザを使用していると、入力フォームが正しく表示されない場合があります。
パソコンの場合は、Windows、Mac、Linuxなど、主要なOSであれば問題なく利用できます。
インターネット接続が安定していることも重要です。申請途中で接続が切れると、入力内容が失われる可能性があるため、Wi-Fiなど安定した接続環境での利用をお勧めします。
ID・パスワード方式とマイナンバーカード方式の選択
電子申請システムでは、2つの認証方式から選択できます。
ID・パスワード方式は、最も簡単で、公的個人認証やICカードリーダライタが不要です。初めての方はこの方式を選ぶことをお勧めします。
マイナンバーカード方式は、より高度なセキュリティが必要な場合に使用します。この方式を選ぶ場合は、マイナンバーカードとICカードリーダライタが必要になります。
大多数のアマチュア無線家は、ID・パスワード方式で十分です。
ステップバイステップ申請ガイド

ここからは、実際に電子申請を進める具体的な手順を、画面イメージを交えながら解説します。
ステップ1:総務省電波利用電子申請システムへのアクセス
まず、総務省の電波利用電子申請システムの公式サイト(https://www.denpa.soumu.go.jp/)にアクセスします。
パソコンでもスマートフォンでも、同じURLでアクセスできます。
サイトにアクセスすると、トップページに「アマチュア局専用の簡易な手続き」というリンクが表示されます。ここをクリックすることで、アマチュア無線局向けの簡潔な申請フォームにアクセスできます。
ステップ2:アカウント登録(初回のみ)
初めて電子申請を利用する場合は、アカウント登録が必要です。
「新規登録」ボタンをクリックし、メールアドレスを入力します。確認メールが送信されるため、メール内のリンクをクリックして、本登録を完了させます。
その後、ID・パスワード方式を選択した場合は、任意のユーザーIDとパスワードを設定します。
パスワードは、8文字以上で、大文字・小文字・数字を含むことが推奨されます。セキュリティのため、定期的にパスワードを変更することもお勧めします。
ステップ3:ログインとマイページへのアクセス
アカウント登録が完了したら、ユーザーIDとパスワードでログインします。
ログイン後、「マイページ」にアクセスすると、過去の申請履歴や、現在の申請状況を確認できます。
ここから、新規申請、再免許申請、変更届出など、必要な手続きを選択して進めることができます。
ステップ4:申請種別の選択
マイページから、実施したい申請の種類を選択します。
新規申請:アマチュア無線局を新たに開設する場合 再免許申請:既存の免許を更新する場合 変更届出:無線局の設置場所や使用周波数などを変更する場合 廃止届出:無線局を廃止する場合
それぞれの申請種別によって、入力項目が異なります。
ステップ5:基本情報の入力
申請種別を選択すると、基本情報の入力画面が表示されます。
氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレスなどを入力します。
既に登録されている情報は自動的に入力されているため、変更がなければそのまま進めることができます。
ステップ6:無線局情報の入力
次に、無線局に関する詳細情報を入力します。
無線局の設置場所(住所)、使用する無線機の型式、アンテナの種類と設置場所、運用予定の周波数帯などを入力します。
ここで注意すべき点は、周波数帯の選択です。アマチュア無線では、免許の種類によって使用できる周波数が決まっています。
例えば、4級アマチュア無線技士は、21MHz以上の周波数帯が主な使用帯となります。
自分の免許種別に応じた周波数帯を正確に選択することが重要です。
ステップ7:申請内容の確認と送信
すべての情報を入力した後、申請内容の確認画面が表示されます。
ここで、入力内容に誤りがないか、最終確認を行います。
特に、無線機の型式や周波数帯など、技術的な情報は正確に入力されているか、念入りにチェックしましょう。
誤りがなければ、「送信」ボタンをクリックして申請を完了させます。
ステップ8:申請手数料の納付
申請が送信されると、申請手数料の納付画面に進みます。
電子申請の手数料は、申請種別によって異なりますが、一般的には1,000円~3,000円程度です。
クレジットカード、銀行振込、コンビニ払いなど、複数の支払い方法から選択できます。
手数料を納付することで、申請が正式に受理されます。
よくある質問と注意点

申請を進める際に、多くの人が疑問に思う点や、注意すべき点をまとめました。
Q1:申請から許可までにどのくらいの時間がかかるのか?
一般的には、申請から許可まで2週間~1ヶ月程度の時間がかかります。
ただし、申請内容に不備がある場合は、修正を求められるため、さらに時間がかかる可能性があります。
電子申請システムのマイページで、申請状況をいつでも確認できるため、進捗が気になる場合は定期的にチェックすることをお勧めします。
Q2:申請内容に誤りがあった場合、修正できるのか?
申請送信後に誤りに気づいた場合、システム上から修正することはできません。
ただし、総務省から修正を求める連絡が来る場合があります。その場合は、指示に従って修正内容を提出します。
申請前に、複数回チェックして誤りを防ぐことが重要です。
Q3:スマートフォンだけで申請を完結できるのか?
はい、スマートフォンだけで申請を完結できます。
ただし、スマートフォンの画面は小さいため、入力ミスを防ぐために、パソコンでの申請をお勧めします。
特に、複雑な無線局情報を入力する場合は、パソコンの方が効率的です。
Q4:複数の無線局を持っている場合、一度に申請できるのか?
電子申請システムでは、1回の申請で1つの無線局のみ申請できます。
複数の無線局を持っている場合は、無線局ごとに別々の申請を行う必要があります。
Q5:申請手数料の割引はあるのか?
電子申請は、郵送による申請よりも手数料が安く設定されています。
具体的な手数料は、申請種別によって異なるため、総務省の公式サイトで確認してください。
申請時の注意点と失敗を避けるコツ

スムーズに申請を進めるために、特に注意すべき点をまとめました。
無線機の型式は正確に入力する
無線機の型式は、申請時に最も重要な情報の一つです。
型式を誤って入力すると、申請が却下される可能性があります。
無線機の説明書や、メーカーの公式サイトで、正確な型式を確認してから入力しましょう。
周波数帯の選択は免許種別に合わせる
自分の免許種別に応じた周波数帯を選択することが重要です。
4級アマチュア無線技士は、21MHz以上の周波数帯が主な使用帯となりますが、一部の周波数帯は使用が制限されている場合があります。
不確実な場合は、JARLの公式サイトで確認することをお勧めします。
申請前に必ず確認メールをチェック
アカウント登録時に、確認メールが送信されます。
このメールを確認しないと、アカウント登録が完了しません。
メールが届かない場合は、迷惑メールフォルダを確認するか、総務省のサポートセンターに問い合わせてください。
申請状況は定期的に確認する
申請送信後、マイページで申請状況を定期的に確認することをお勧めします。
不備があった場合、総務省から連絡が来る前に、システム上で「修正待ち」などのステータスが表示される場合があります。
早期に対応することで、申請期間を短縮できます。
JA3CGZからのアドバイス

アマチュア無線を楽しむ上で、免許申請・更新手続きはどうしても避けて通れません。
しかし、電子申請システムを利用することで、この手続きは驚くほど簡単になりました。
私自身も、複数の無線局を運用していますが、電子申請を利用してからは、手続きの煩雑さが大幅に軽減されました。
特に、スマートフォンから申請できるようになったことで、通勤中や休憩時間など、ちょっとした時間を活用して申請を進めることができるようになりました。
これからアマチュア無線を始める方も、既に免許を持っている方も、ぜひ電子申請システムを活用して、手続きの効率化を実現してください。
参考リンク・詳細情報
詳細はコチラへ:総務省 電波利用電子申請・届出システム
詳細はコチラへ:JARL(日本アマチュア無線連盟)- 電子申請ガイド
詳細はコチラへ:総務省 電波利用ホームページ
関連記事
- アマチュア無線4級免許の取得方法と勉強のコツ
- アマチュア無線初心者向け無線機の選び方
- ベランダアンテナ設置ガイド:マンション・アパートでの運用方法
参考資料
[1] 総務省電波利用電子申請・届出システム – https://www.denpa.soumu.go.jp/ [2] JARL(日本アマチュア無線連盟)- https://www.jarl.org/ [3] 総務省 電波利用ホームページ – https://www.soumu.go.jp/soutsu/shinetsu/sbt/syosiki/at-densisinsei.htm


