HF帯でのDX通信、つまり遠く離れた海外の局との交信は、アマチュア無線の大きな醍醐味の一つですよね。「でも、うちには大きなアンテナを建てる場所なんて無いし…」と諦めていませんか?実は、シンプルなワイヤーアンテナでも、驚くほどよく飛ぶアンテナを自作できるんです。
この記事では、HF帯でDX通信を楽しむためのワイヤーアンテナ、特に代表的なロングワイヤーアンテナとダイポールアンテナに焦点を当て、その基本的な作り方から、性能を最大限に引き出す張り方のコツ、そしてシビアな調整方法まで、私の経験も交えながら徹底的に解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたもきっと「自分だけの飛ぶアンテナ」を手に入れ、アマチュア無線の新たな世界の扉を開くことができるはずです。さあ、一緒にアンテナ作りの冒険に出かけましょう!
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なぜワイヤーアンテナは「飛ぶ」のか?基本を理解しよう

「針金みたいなアンテナで、本当に海外まで電波が届くの?」と疑問に思うかもしれません。しかし、ワイヤーアンテナはそのシンプルさからは想像もつかないほどのポテンシャルを秘めています。まずは、その基本と魅力について理解を深めましょう。
ワイヤーアンテナの3つの魅力:シンプル、高コスパ、高性能!
ワイヤーアンテナが多くのハムに愛される理由は、大きく分けて3つあります。
第一に、構造が非常にシンプルであること。基本的には導線(ワイヤー)そのものがアンテナとして機能するため、複雑な部品はほとんど必要ありません。このシンプルさこそが、自作に挑戦しやすい最大の理由です。
第二に、コストパフォーマンスが抜群に高いこと。市販の高性能アンテナは高価なものが多いですが、ワイヤーアンテナなら数千円程度の材料費で、それに匹敵する性能のアンテナを自作することも夢ではありません。
そして第三に、工夫次第で非常に高い性能を発揮すること。設置する高さや長さ、張り方を工夫することで、驚くほど遠くまで電波を飛ばすことが可能です。この「自分で育てていく」感覚が、多くのハムを魅了してやみません。
代表的な2種類:ロングワイヤーとダイポールアンテナの違いとは?
HF帯のワイヤーアンテナには様々な種類がありますが、ここでは代表的な2つ、「ロングワイヤーアンテナ」と「ダイポールアンテナ」の違いを簡単に見ていきましょう。
| アンテナの種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| ダイポールアンテナ | ・特定の周波数(の半分)の長さを持つ2本のエレメントで構成 ・給電部を中心に左右対称 | ・基本的にアンテナチューナーが不要 ・SWRが安定しやすい | ・基本は単一バンド用 ・設置に比較的広いスペースが必要 |
| ロングワイヤーアンテナ | ・1本の長いエレメントで構成 ・アース(カウンターポイズ)が重要 | ・1本のエレメントでマルチバンド運用が可能 ・狭い場所でも工夫次第で設置できる | ・アンテナチューナーが必須 ・調整がやや難しい |
どちらが良いというわけではなく、あなたの運用スタイルや設置環境に合わせて選ぶことが重要です。この記事では、両方の自作方法を解説していきますので、ご安心ください。
HF帯でワイヤーアンテナがDX通信に強い理由
では、なぜワイヤーアンテナはHF帯、特にDX通信で力を発揮するのでしょうか。その秘密は「打ち上げ角」にあります。
地上高やアンテナの張り方にもよりますが、適切に設置されたワイヤーアンテナは、電波を低い角度で効率よく放射する特性があります。この低い打ち上げ角の電波が、上空にある電離層で反射し、遠く海外まで到達するのです。まさに、DX通信にうってつけの特性と言えるでしょう。
【実践】7MHz対応!定番ダイポールアンテナの自作方法

それでは、いよいよアンテナの自作に取り掛かりましょう。まずは、アマチュア無線で最も人気のあるバンドの一つ、7MHz帯用のダイポールアンテナの作り方を紹介します。基本を押さえれば、他の周波数にも応用できますよ。
準備する材料リスト
ダイポールアンテナの自作は、意外と少ない材料で始められます。ホームセンターや電子部品店、アマチュア無線ショップなどで揃えましょう。
- アンテナエレメント: IV線やKIV線などのビニル被覆銅線(1.25sq〜2.0sq程度)
- バラン: 1:1の強制平衡型バラン。これがアンテナの心臓部です。
- 碍子(がいし): エレメントの端を絶縁するためのセラミック製またはプラスチック製の部品。2個必要です。
- 同軸ケーブル: 無線機とバランを接続するためのケーブル(5D-2Vなど)。必要な長さを準備します。
- その他: 半田ごて、半田、ビニルテープ、自己融着テープ、ロープなど
キホンのキ!周波数に合わせたエレメント長の計算式
ダイポールアンテナは、運用したい周波数の1/2波長を基本に作ります。ただし、電波は空中よりも電線の中を少しだけ遅く伝わるため、「短縮率」を考慮して少し短くする必要があります。計算式は以下の通りです。
片側エレメント長(m) = 150 ÷ 周波数(MHz) × 短縮率(0.95〜0.97) ÷ 2
例えば、7.100MHzで運用したい場合、短縮率を96%とすると…
150 ÷ 7.100 × 0.96 ÷ 2 = 10.14m
となります。つまり、約10.14mのエレメントを2本用意すれば良いわけです。最初は少し長めにカットしておき、後で調整するのが成功のコツです。
写真で解説!ステップ・バイ・ステップ製作手順
- エレメントの接続: 計算した長さより少し長めにカットしたエレメント2本を、バランの端子にしっかりと半田付けします。
- 防水処理: バランの接続部分は、雨水などが入らないようにビニルテープや自己融着テープで厳重に防水処理を施します。これがアンテナの寿命を左右します。
- 碍子の取り付け: エレメントの反対側の端に、碍子を取り付けます。ここにロープを結び、アンテナを張る際の支点とします。
【実践】マルチバンド対応!ロングワイヤーアンテナの自作方法

次に、1本で様々なバンドに出られる手軽さが魅力のロングワイヤーアンテナの作り方です。アパマンハム(マンションやアパートに住むハム)の強い味方にもなりますよ。
準備する材料リスト
ロングワイヤーアンテナの材料は、ダイポールよりもさらにシンプルです。
- アンテナ線: ダイポールと同様のビニル被覆銅線。長さは設置場所に合わせて調整しますが、10m〜20m程度あると良いでしょう。
- UN-UN(アンアン): 9:1のインピーダンス変換トランス。ロングワイヤーの高いインピーダンスを無線機が扱いやすい値に変換します。
- カウンターポイズ用の電線: アンテナ線と同じものでOK。複数本あると効果的です。
- 同軸ケーブル: 無線機とUN-UNを接続します。
- その他: 碍子、ロープ、各種テープ類
性能の鍵!「カウンターポイズ」の作り方と接続のコツ
ロングワイヤーアンテナで最も重要なのが「カウンターポイズ」です。これは、アンテナが効率よく電波を放射するための「仮想的な地面(アース)」の役割を果たします。
作り方は簡単。数m〜10m程度の電線を数本用意し、UN-UNのアース(GND)側の端子にまとめて接続するだけ。このカウンターポイズを、ベランダの床や室内に這わせることで、アンテナの性能が劇的に向上することがあります。長さや本数を変えて、最もSWRが下がるポイントを探るのも楽しみの一つです。
写真で解説!ステップ・バイ・ステップ製作手順
- UN-UNへの接続: アンテナ線をUN-UNの入力端子に、カウンターポイズ用の電線をアース端子にそれぞれ接続します。
- 防水処理: こちらもダイポール同様、接続部分をしっかりと防水します。
- 展開の準備: アンテナ線の先端に碍子を取り付け、ロープを結んでおきます。
アンテナの性能を最大限に!効果的な張り方のコツ5選

アンテナは、ただ作って繋げば良いというものではありません。その性能を100%引き出すには、「張り方」が非常に重要になります。ここでは、今日から使える5つの実践的なコツをご紹介します。
コツ1:とにかく「高く」「長く」を意識する
これはアンテナ設置の基本中の基本です。アンテナは、地面や建物などの影響を受けにくくするため、可能な限り高く、そして長く展開することが理想です。周囲に障害物がない開けた場所ほど、電波はスムーズに飛んでいきます。
コツ2:周囲の障害物から距離を取る
アンテナエレメントの近くに、建物や電線、金属製のフェンスなどがあると、それがアンテナの動作に影響を与え、SWRの悪化やノイズの原因となります。最低でも1m〜2m、できればそれ以上離して設置するように心がけましょう。
コツ3:【ダイポール】逆V字で打ち上げ角を低くする
ダイポールアンテナの設置方法として人気なのが「逆V字型」です。給電部を最も高くし、両端のエレメントを地上に向かって斜めに下ろす張り方です。これにより、打ち上げ角が低くなり、DX通信に有利になると言われています。また、水平に張るよりも設置面積が少なくて済むというメリットもあります。
コツ4:【ロングワイヤー】釣り竿活用で斜めに展開
ロングワイヤーアンテナ、特にアパマンハムにおすすめなのが、グラスファイバー製の釣り竿をマスト代わりにする方法です。ベランダから釣り竿を斜めに突き出し、その先端からアンテナ線を垂らすことで、手軽に高さを稼ぐことができます。詳細はこちらの記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください 。
コツ5:アパマンハム向け!ベランダ設置の工夫
ベランダという限られたスペースでは、様々な工夫が求められます。物干し竿に沿って張ったり、エアコンの室外機のアースをカウンターポイズ代わりに利用したりと、試行錯誤も楽しみの一つです。ただし、安全には最大限配慮し、アンテナが落下したり、通行の邪魔になったりしないように、しっかりと固定してください。
バンド別の自作アンテナ例と寸法(HF、50MHz、430MHz)
バンドごとに「自作しやすい形」と「再現性の高い設計」を選ぶのが、成功への一番の近道です。ここではHF帯・50MHz帯・430MHz帯それぞれで、自作しやすく実績のあるアンテナ例と寸法の目安を紹介します。
HF帯(7MHz / 14MHz)のエレメント寸法と製作ポイント
HF帯は電波の波長が長いため、設置環境(地面からの高さや周辺の建物)による影響を受けやすい特徴があります。
7MHz帯:扱いやすく飛びの良い「7MHz用デルタループ」
7MHz帯は帯域が狭くSWR調整がシビアになりがちですが、ループ系アンテナは構造的に外部影響を受けにくく再現性が高いのが強みです。ベランダや限られたスペースでも展開しやすい台形〜三角形のデルタループがおすすめです。
- エレメント長(目安):全周約40m(1波長)。各辺を均等に張るほか、敷地に合わせた配置が可能です。
- 給電と調整:50Ω同軸ケーブルで直接給電し、給電位置を頂点から少しずらすことで整合点を探索します。SWRは1.5以下を目標に追い込みます。
- 設置の注意点:地上高が低いと共振周波数が下がります。最低でも地上高2m以上、可能なら可能な限り高く展開するのがコツです。
14MHz帯:DX通信の決定版「14MHz用 2エレメント八木」
海外DX通信のメインバンドである14MHz帯では、指向性を持つ2エレメント八木アンテナが力を発揮します。構造がシンプルで自作の成功率が高いのが特長です。
- 反射器(Reflector):約10.6m〜10.8m(波長の約0.51倍)
- 駆動器(Driven):約10.1m〜10.3m(波長の約0.48倍)
- エレメント間隔:約2.0m〜2.5m(波長の約0.10〜0.12倍)
- 期待性能:適切に調整が決まれば、利得+5〜+7 dBi、前後比(F/B)10dB前後が狙えます。
50MHz帯(6m)の自作アンテナ例(ヘンテナ・デルタループ)
「50MHz帯は自作の宝庫」と言われるほど、多彩なアンテナづくりを楽しめるバンドです。エレメント長も約3m前後と手頃で、自作初心者にもうってつけです。
ヘンテナ / デルタループの寸法目安
50MHz帯で非常に人気が高いのが「ヘンテナ」や「デルタループ」です。特にデルタループは正三角形に近い形状で作ると素直な特性が得られます。
- 1辺の長さ:約2.0m(全周約6.0m = 1波長)
- 使用材料:径2mm以上の銅線やアルミパイプ
- 特長:打ち上げ角が低く、50MHz帯特有のEスポ(異常伝播)発生時には驚くほどの飛翔性能を見せます。
430MHz帯(70cm)の自作アンテナ例(グランドプライプ・モノポール)
430MHz帯は波長が約70cmと非常に短いため、部材がコンパクトで工作が容易な反面、ミリ単位の寸法精度がSWRに直撃します。
430MHz帯グランドプレーン(GP)アンテナの寸法目安
手軽に自作できて全方向(無指向性)に飛ばせる定番が1/4波長GPアンテナです。
- 垂直エレメント(放射線):約16.5cm(1/4波長)
- ラジアル線(アース側・4本):約17.0cm〜18.0cm
- ポイント:ラジアル線を下方に45度ほど傾けることで、インピーダンスが50Ωに近づき、SWRが下がりやすくなります。
八木(Yagi)アンテナの自作:要素数別設計と期待性能
指向性アンテナの代名詞である「八木(Yagi)アンテナ」の自作で最初に押さえたいのは、「要素数(エレメント数)で性格が大きく変わる」という点です。
2エレは素直で作りやすい。3エレは前後比(F/B)が締まる。5エレになると高い利得が得られる一方、寸法精度と調整の手間が増します。ここでは要素数ごとの特徴と、期待できる性能の目安を解説します。
八木アンテナ自作の基本:共通の設計前提と比率
八木アンテナは、反射器(リフレクタ)、駆動器(ラジエーター)、導波器(ディレクタ)で役割分担が決まっています。
アマチュア無線の自作で使いやすい設計目安として、「反射器は駆動器より約2〜5%長く、導波器は駆動器より約2〜5%短くする」のが基本線です。
【設計時の注意点】
期待性能は「理想条件からのズレ」を含みます。材料の太さ、エレメント固定方法、給電方式(同軸フィーダ直結か、マッチング回路を挟むか)で結果は変わります。ここでの利得やF/Bは、うまく作れて低SWRに入った時の目安として参考にしてください。ズレを見つけて微調整していくプロセスこそが自作の醍醐味です。
【2エレメント】作りやすく初心者におすすめ!基本の指向性と設計
2エレは「まず八木を作って指向性を体験したい」という方に最適です。構造がシンプルで、最初の成功体験を得やすい構成です。
エレメント長と間隔の目安
- エレメント長:駆動器(波長の約0.47〜0.50倍)を基準に、反射器は駆動器より約2〜3%長めに設定。
- 間隔の目安:反射器と駆動器の間隔は波長の0.20〜0.25倍。
期待性能のイメージ
50MHz帯などで適切に組み上げて整合が取れた場合、利得「+5〜+7 dBi」前後、F/B「10 dB前後」を期待できます。
【3エレメント】前後比(F/B)が締まる!バランスの取れた決定版
3エレメント(反射器1+駆動器1+導波器1)になると、一気に八木アンテナらしい鋭い指向性と高い前後比が得られます。
エレメント長と間隔の目安
- 反射器:駆動器より約2〜4%長め
- 駆動器:波長の0.47〜0.50倍
- 導波器:駆動器より約2〜5%短め
- 配置間隔:反射器〜駆動器は0.18〜0.22λ、駆動器〜導波器は0.20〜0.25λ。
期待性能のイメージ
430MHz帯などで精度良く作成した場合、利得「+7〜+9 dBi」、F/B「15〜20 dB」という優れた性能を発揮します。
【5エレメント】高利得・高指向性!実用性を極める設計と難所
5エレメント(反射器1+駆動器1+導波器3)は、遠距離通信(DX)を強力にサポートする実戦的アンテナです。
エレメント長と間隔の目安
- エレメント長:導波器(第1〜第3)は先端に向かって少しずつ短く設定するのがコツです。
- 配置間隔:導波器側の間隔を後半ほどわずかに詰めることで、前方の指向性を鋭く立ち上げることができます。
期待性能のイメージ
しっかり調整された5エレ八木は、利得「+9〜+12 dBi」、F/B「20〜25 dB」に達し、弱々しい信号を劇的に強く捉えることができます。
失敗を防ぐ!アンテナ調整と給電点整合(マッチング)のコツ
八木アンテナの自作で性能を出すには、「共振周波数の調整(エレメント長)」と「SWRを落とす調整(給電点マッチング)」を分けて考えることが成功のポイントです。
- エレメントを切削して調整:基本は長めに作っておき、共振周波数を見ながら少しずつ短くカットしていきます。
- 給電部周辺の処理:配線のバタつきやコネクタ周辺の長すぎるリード線はSWR悪化の原因になります。しっかりと固定・防水処理を行いましょう。
最後の仕上げ!アンテナ調整とSWRの追い込み方

アンテナを張り終えたら、いよいよ最終調整です。この仕上げ作業が、あなたのアンテナを「本当に飛ぶアンテナ」に変えるための最も重要なステップです。
なぜ調整が必要?SWRと「飛び」の関係
SWR(定在波比)とは、無線機から送られた高周波エネルギーが、アンテナから効率よく電波として放射されずに、どれだけ反射して戻ってきてしまうかを示す指標です。このSWRの値が低いほど、効率よく電波が放射されている、つまり「よく飛ぶ」状態と言えます。
理想は「1.0」ですが、実用上は「1.5以下」を目指して調整を行います。SWRが高いままだと、無線機に負担がかかり、故障の原因になることもあるため、必ず調整を行いましょう。
【ダイポール】エレメントの長さでSWRを調整する
ダイポールアンテナのSWR調整は、エレメントの長さを変えることで行います。アンテナアナライザーや無線機内蔵のSWR計を使って、目標の周波数でSWRを測定します。
- SWRの最良点が目標周波数より低い場合: エレメントが長すぎるので、左右のエレメントを同じ長さだけ少しずつ切り詰めます。
- SWRの最良点が目標周波数より高い場合: エレメントが短すぎるので、新しい電線を継ぎ足して長くします。
この作業を根気よく繰り返すことで、SWRを追い込んでいきます。SWR調整の具体的なテクニックについては、こちらの動画が非常に参考になります 。
【ロングワイヤー】アンテナチューナー(ATU)の活用法
ロングワイヤーアンテナの場合は、アンテナチューナー(ATU)を使ってSWRを調整するのが一般的です。ATUは、アンテナと無線機の間に立って、インピーダンスの不整合を強制的に整合させてくれる便利な機器です。
多くの無線機にはATUが内蔵されていますが、より広範囲のインピーダンスに対応できる外付けのATUも有効です。特に、屋外設置型のATUは、アンテナの直下で整合を取るため、同軸ケーブルでの損失が少なく、非常に効率的です。詳細はダイヤモンド社の資料なども参考に、最適なATUを選んでみてください 。
安全な運用とノイズ対策のために「アース」を確実に!
最後に、忘れてはならないのが「アース(接地)」です。これは、落雷などから無線機を守る安全対策であると同時に、回り込みによるノイズを防ぎ、電波の飛びを安定させる効果もあります。
戸建ての場合は、地面にアース棒を打ち込むのが最も確実です。アパートやマンションの場合は、建物の鉄骨や金属製の水道管に接続する方法がありますが、事前に管理組合や大家さんに確認することをおすすめします。
ここに追加
【実践テンプレ】アンテナ自作の寸法表&製作チェックリスト
ここからは、「アマチュア無線 アンテナ 自作」を最短で形にするための寸法表と製作チェックリストをまとめます。記事を読み終えたあと、そのままコピペや印刷をして作業現場で使える実用テンプレです。
アンテナ自作における最初の挫折ポイントは、設計理論や電波の難しさではなく、「寸法の取り違え」と「測定の段取りミス」であることがほとんどです。このテンプレを使って事前確認を行い、失敗や無駄な作業を減らしましょう。
1. 【寸法表テンプレ】代表バンド別・アンテナ別の目安
以下の寸法は「自作の切り出し起点」用です。厳密にはバンド中心周波数、給電方式、エレメントの太さ(導体径)、周囲の状況によって微調整が必要になります。まずはこの寸法で材料をカットし、測定しながら詰めていくのが最もスムーズで失敗しにくい手順です。
A) 7MHz帯(HF)3エレメント八木アンテナ
- 狙い: 7.1MHz付近(指向性・利得のバランス型)
- エレメント長(目安):
- リフレクタ(反射器): Lr = 0.50 × 波長
- ダイポール(輻射器): Ldip = 0.48 × 波長
- ディレクタ(導波器): Ld = 0.45 × 波長
- エレメント間隔(目安):
- リフレクタ 〜 輻射器: S1 = 0.15 × 波長
- 輻射器 〜 ディレクタ: S2 = 0.15 × 波長
ワンポイント: エレメント(パイプやワイヤー)が太いほど、電気的に少し長くなり実効的に短縮されます。見た目の寸法通りにいかないのは普通ですので、少し長めに切って調整前提で進めましょう。
B) 50MHz帯(6m)4エレメント八木アンテナ
- 狙い: 50.1〜50.4MHz(SSB/CW運用起点)
- エレメント長(目安):
- リフレクタ: Lr = 0.50 × 波長
- 輻射器(ダイポール): Ldip = 0.48 × 波長
- ディレクタ1: Ld1 = 0.45 × 波長
- ディレクタ2: Ld2 = 0.44 × 波長
- エレメント間隔(目安):
- リフレクタ 〜 輻射器: S1 = 0.14 × 波長
- 輻射器 〜 ディレクタ1: S2 = 0.12 × 波長
- ディレクタ1 〜 ディレクタ2: S3 = 0.12 × 波長
ワンポイント: エレメント数を増やすほど利得は出やすくなりますが、加工精度や給電部のバラン整合が甘いとSWRだけが悪化します。丁寧な工作が鍵になります。
C) 430MHz帯(70cm)6エレメント八木アンテナ
- 狙い: 430〜440MHz帯(中心周波数を決めて調整)
- 計算式: 波長 λ (m) = 300 / f (MHz)
- エレメント長(目安):
- リフレクタ: Lr = 0.45 × λ
- 輻射器: Ldip = 0.42 × λ
- ディレクタ: Ld ≒ 0.40 × λ (複数枚同程度から開始)
- エレメント間隔(目安): 先頭間隔 S ≒ 0.12 × λ
ワンポイント: 430MHz帯は寸法が小さいためミリ単位の精度(ノギス作業)が勝負です。曲げ癖や穴位置のミリ単位のズレがSWRに直結しますが、きっちり作れば素直に性能が出てくれます。
D) 受信用小型ループアンテナ(HF〜中短波)
- 方針: 省スペースで共振と整合を作る設計
- 起点寸法目安:
- ループ直径(D):小さくすると共振周波数が上がりにくくなり、給電点の調整範囲が広がります。
- ギャップ付きループ:ギャップ長(g)が極めて重要です。固定せず可変できる構造にしておくと追い込みが非常に楽になります。
ワンポイント: 受信ループは「SWRが下がること」と「実際に良く聞こえること」が一致しない場合があります。SWRの数値だけにとらわれず、実際の受信ノイズやS/N比の体感テストを重視してください。
2. 【製作前チェックリスト】切り出す前に必ず確認!(作業用)
材料を切る前に、この順番でチェックを通してください。このひと手間で無駄な材料の買い直しや事故を防ぐことができます。
■ 1. 材料・基本設計チェック
■ 2. 工具・工作環境チェック
■ 3. 安全対策チェック
■ 4. 測定・調整の準備チェック
■ 5. 組立・記録チェック
3. 【実践】自作を成功させる5ステップ手順
- 中心周波数の決定: 主に運用したい周波数を1つ決める。
- 仮切り出し: 寸法表の係数を使って少し長めに材料をカットする。
- 初期測定: 組み立てたら測定器を接続し、SWRが一番下がる「ボトム周波数」を確認する。
- 追い込み微調整: ボトムが狙いより低ければエレメントを切り詰め(短くし)、高ければ伸ばして目標周波数を合わせる。
- 記録とデータ化: 低SWR(ベストな状態)になったら、最終寸法と写真を記録に残しておく。
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まとめ:自作アンテナで、いざDXの世界へ!
今回は、HF帯でよく飛ぶワイヤーアンテナの自作方法から、張り方のコツ、そして調整方法までを詳しく解説してきました。
一見難しそうに思えるアンテナの自作ですが、一つ一つのステップを丁寧に進めれば、誰でも必ず完成させることができます。そして、自分で作ったアンテナで初めて海外の局と交信できた時の感動は、何物にも代えがたいものがあるはずです。
この記事が、あなたのアマチュア無線ライフをより豊かにする一助となれば、これほど嬉しいことはありません。さあ、工具を手に取り、あなただけの「飛ぶアンテナ」作りに挑戦してみてください。そして、自作アンテナでDXの世界を存分に楽しんでください! 73!
参考文献
- 【完全ガイド】ロングワイヤーアンテナの自作方法|材料選びから調整まで徹底解説. (2025年11月5日). CQ~JA3CGZ アマチュア無線ブログ. https://ja3cgz.com/longwire-antenna-2/
- 【永遠の戦い】ダイポール・アンテナ SWRを下げる方法を紹介 。測定器を使って、適切な対策方法を紹介。アマチュア無線 アンテナ 調整. (2022年). YouTube. https://www.youtube.com/watch?v=WV37m4zCIDw
- HF帯ワイドバンドワイヤーアンテナ. ダイヤモンドアンテナ株式会社. https://www.diamond-ant.co.jp/pdf/b/bb6ws.pdf




