2026年2月2日朝、アマチュア無線家のSNSが一斉に騒然となりました。「7MHzが完全に死んでいる」「何も聞こえない」――その原因は、X8.1クラスという近年まれに見る超大型太陽フレアの発生でした。
今回は、このフレアがHF帯に与えた影響と、今後のDX運用の見通しについて詳しく解説します。
2026年2月2日、X8.1クラスの超大型太陽フレアが発生
2026年2月2日8時30分ごろ(日本時間)、アマチュア無線家の間で衝撃的なニュースが駆け巡りました。太陽表面の活動領域「AR4366」で、Xクラスの中でもトップレベルの規模となる「X8.1」の超大型太陽フレアが発生したのです。世界時(UT)では2月1日23時半ごろの出来事でした。
このフレアは、単発で終わらず、直前にもX2.8クラスのフレアを発生させるなど、非常に活発な活動を見せていました。地球に正対している領域で発生したフレアとしては近年まれに見る強さであり、多くの宇宙天気機関が「現在最も注意すべき太陽黒点群」として監視を強めています。
JA3CGZ/RYOデリンジャー現象によるHF帯ブラックアウトの実態


X8.1という強大なフレアの発生直後、地球の昼側では大規模な通信障害「デリンジャー現象」が発生しました。これは、太陽フレアによって放出された強力なX線が、地球の電離層D層(高度60〜90km)の電子密度を急激に増加させ、短波(HF)帯の電波を吸収してしまう現象です。
この影響で、アマチュア無線で最も利用者の多い7MHz帯をはじめ、14MHz、21MHzといった主要なHF帯のバンドが、数十分から1時間以上にわたって完全に静まり返る「ブラックアウト」状態に陥りました。SNS上では、世界中のアマチュア無線家から「バンドが死んだ」「何も聞こえない」といった驚きの声がリアルタイムで投稿され、この現象が大きな話題となっていることが伺えます。
デリンジャー現象からの回復時間はフレアの規模によって異なりますが、通常は数十分から長くても数時間で電離層の状態は元に戻り始めます。しかし、これほど大規模なフレアとなると、完全な回復にはもう少し時間が必要かもしれません。



CME到来による地磁気嵐とHF帯コンディションへの影響


さらに注意が必要なのは、今回のフレアに伴って「コロナ質量放出(CME)」が発生した可能性があることです。CMEは、太陽からプラズマの塊が放出される現象で、これが地球に到来すると「地磁気嵐」を引き起こします。
米海洋大気庁(NOAA)の宇宙天気予報センターによると、今回のCMEは地球を直撃するコースではないものの、2月5日前後にその一部が地球の磁気圏をかすめる可能性があると予測されています。もし地磁気嵐が発生すると、HF帯のコンディションは再び大きく乱れることになります。
具体的には、電離層嵐によってF層の電子密度が減少し、DX通信に不可欠なMUF(最高使用周波数)が大きく低下します。特に、北極や南極を経由するような高緯度パスでの通信は、数日間にわたって困難になる可能性があります。今後のDX運用を計画する上では、K指数やA指数といった地磁気活動の指標を注視する必要があるでしょう。



低緯度オーロラとVHF/UHF異常伝搬の可能性


一方で、強い地磁気嵐はアマチュア無線家にとって特別なチャンスをもたらす可能性も秘めています。それは「低緯度オーロラ」の発生です。通常は北極圏などの高緯度でしか見られないオーロラが、日本のような中緯度地域でも観測される可能性があります。
そして、オーロラが発生すると、そのプラズマで電波が散乱される「オーロラ散乱(オーロラ・スキャッター)」という現象を利用した異常伝搬が期待できます。これにより、50MHzや144MHzといったVHF帯で、普段は届かない数百kmから1000kmを超えるような遠距離交信が可能になるのです。過去にも、大規模な地磁気嵐の際には、北海道や東北地方でオーロラが観測され、VHF帯でのエキサイティングな交信が楽しまれました。
ただし、前述の通り今回のCMEは地球をかすめる程度と予測されているため、過度な期待は禁物です。それでも、今後の宇宙天気情報から目が離せません。



まとめ:宇宙天気の最新情報を活用し、DX運用に備えよう
今回のX8.1超大型太陽フレアは、アマチュア無線におけるHF帯の運用に即時的な影響を与えただけでなく、数日後のコンディションにも変化をもたらす可能性を秘めた、非常に注目すべき天文現象です。デリンジャー現象によるブラックアウトに驚かれた方も多いと思いますが、これは太陽活動が活発であることの証でもあります。
CMEの到来による地磁気嵐の発生、そしてそれに伴うHF帯のコンディション低下や、VHF帯でのオーロラ散乱による異常伝搬の可能性など、今後数日間は宇宙天気に関する情報から目が離せません。NICT(情報通信研究機構)やNOAA(米海洋大気庁)などの専門機関が発信する最新情報を常にチェックし、的確な状況判断を行うことが、今後のDX運用を成功させる鍵となるでしょう。
参考文献
- NICT 宇宙天気予報: https://swc.nict.go.jp/
- NOAA Space Weather Prediction Center: https://www.swpc.noaa.gov/
- note – X8.1の超大型太陽フレア発生 2026年2月2日の宇宙天気と地球への影響を解説: https://note.com/sonaeareba/n/n84040200a400



