アマチュア無線を始めよう、あるいは新しいハンディ機にステップアップしようと考えたとき、多くの人が最初に突き当たる壁があります。それが、アイコムの「ID-52」と八重洲無線の「FT5D」、この2大メーカーのフラッグシップ・ハンディ機のどちらを選ぶかという問題です。
D-STARとC4FM、異なるデジタル方式を採用する両機は、それぞれに魅力的な特徴があり、初心者が「アマチュア無線 ハンディ おすすめ」と検索すると必ずと言っていいほど登場します。この記事では、そんな悩めるあなたのために、ID-52とFT5Dを徹底的に比較し、あなたに最適な一台を見つけるお手伝いをします。
JA3CGZ/RYO一目でわかる!ID-52とFT5Dのスペック比較
まずは、両機種の基本的なスペックを比較表で見てみましょう。数字だけではわからない部分もありますが、客観的な違いを把握するための第一歩です。
| 項目 | アイコム ID-52 | 八重洲無線 FT5D |
|---|---|---|
| デジタル方式 | D-STAR | C4FM |
| サイズ (W×H×D) | 61.1×121.6×29.7mm | 62×100×34mm |
| 重量 | 約295g | 約282g |
| ディスプレイ | 2.3インチ カラー液晶 | フルカラー タッチパネル |
| スピーカー出力 | 750mW | 1000mW |
| 防水性能 | IPX7 | IPX7 |
| GPS | 内蔵 | 内蔵 |
| Bluetooth | 標準対応 | 標準対応 |


スペック表を見ると、FT5Dの方が高さが低くコンパクトで、スピーカー出力が大きいことがわかります。一方で、ID-52はFT5Dより薄く、縦長のディスプレイを持っています。重量はほぼ同じですが、実際に手に持ってみると、この形状の違いが「持ちやすさ」に影響します。FT5Dはずんぐりとした形で手にフィットしやすく、ID-52はスリムでスタイリッシュな印象です。このあたりは、後ほど紹介する比較写真も参考に、ご自身の好みで判断するのが良いでしょう。
画面の見やすさも重要なポイントです。ID-52は2.3インチのカラー液晶を搭載し、情報量が多くても視認性が高いのが特徴です。特に、電波の状況を視覚的に捉えられるウォーターフォール表示は、空き周波数を見つけるのに非常に便利です。対するFT5Dは、高精細のフルカラータッチパネルを採用しており、スマートフォンのように直感的な操作が可能です。どちらも日中の屋外でも見やすいですが、操作性の好みは大きく分かれるところでしょう。



最大の違いはデジタル方式!D-STARとC4FM、あなたに合うのはどっち?
ID-52とFT5Dを比較する上で、最も本質的で重要な違いが、採用しているデジタル通信方式です。「D-STAR C4FM 違い」は、多くの初心者が最初に学ぶべき重要なテーマと言えるでしょう。
D-STAR(アイコム ID-52)の特徴
D-STARは、日本アマチュア無線連盟(JARL)が開発を主導した、日本発のデジタル通信規格です。アイコムが積極的に採用しており、その最大の特徴は「レピーター(中継局)網」の充実にあります。JARLが管理するレピーターが全国の山頂など見通しの良い場所に設置されているため、ハンディ機単体でも広範囲の通信が可能です。さらに、インターネット経由でレピーター同士を接続する「リフレクター」システムにより、日本全国、さらには海外の局ともクリアな音声で交信することができます。
C4FM(八重洲無線 FT5D)の特徴
C4FMは、八重洲無線が独自に開発したデジタル通信方式です。音質の良さに定評があり、D-STARよりも広い帯域幅を使って、より自然でクリアな音声通信を実現します。C4FMのネットワーク機能は「WIRES-X」と呼ばれ、個人が開設する「ノード局」にアクセスして通信範囲を広げます。また、FM波とデジタル波を自動で判別して通信するAMS機能を搭載しており、アナログ運用がメインの局ともスムーズにコミュニケーションが取れる「FMフレンドリー」な点が魅力です。
【重要】どちらを選ぶべきか?決め手は「地域のインフラ」
では、D-STARとC4FM、どちらを選べば良いのでしょうか。結論から言うと、**あなたの住んでいる地域や、よく移動するエリアで、どちらの方式が普及しているか**が最も重要な判断基準になります。デジタル通信は、同じ方式の無線機でなければ交信できません。あなたの周りのハム仲間がD-STARを使っているならID-52を、C4FMが主流ならFT5Dを選ぶのが、最も確実で、デジタル通信を最大限に楽しむための近道です。ぜひ、地域のレピーター設置状況や、クラブ局で使われている方式を調べてみてください。



操作性と使い勝手を徹底レビュー!実際の使用感を比較
最後に、実際の使用感を左右する「操作性」や「付加機能」についてレビューします。どちらも多機能ですが、そのアプローチにはメーカーの思想が色濃く反映されています。
ID-52:多機能と情報量を両立した実用派
ID-52は、その多機能ぶりを大きなカラー液晶で分かりやすく表示してくれるのが魅力です。前述のウォーターフォール表示に加え、最寄りのレピーターを自動でリストアップするDR(D-STAR Repeater)機能は、初心者でも直感的にD-STARの各種設定を行える優れた機能です。また、Bluetoothにも標準対応しており、スマートフォンと連携して画像の送受信を行ったり、ヘッドセットでワイヤレス運用を楽しんだりと、現代的な使い方が可能です。多彩な機能をボタン操作で確実に呼び出したい、実用性を重視するユーザーに向いています。
FT5D:タッチパネルで直感的に操る革新派
FT5Dの最大の特徴は、やはりタッチパネルによる直感的な操作性です。PMG(Primary Memory Group Activity Monitor)機能を使えば、よく使う周波数の活動状況をバーグラフで一覧表示し、画面をタッチするだけで瞬時にその周波数へ移動できます。この「タッチ&ゴー」オペレーションは、一度体験すると手放せなくなる快適さです。また、堅牢なボディと1000mWの大音量スピーカーは、アウトドアでのハードな運用にも応えてくれます。スマートフォンの操作に慣れ親しんだ世代や、新しい操作感を求めるユーザーに最適な一台と言えるでしょう。
まとめ:あなたに最適な一台はこれだ!
ここまで、ID-52とFT5Dを様々な角度から比較してきました。最後に、それぞれの機種がどのようなユーザーにおすすめかをまとめます。
アイコム ID-52がおすすめな人
- D-STARレピーター網を活用して、全国・海外の局と交信したい人
- ウォーターフォール表示など、多くの情報を視覚的に把握したい人
- ボタン操作による確実なオペレーションを好む人
- 周辺にD-STARユーザーが多い環境にいる人
八重洲無線 FT5Dがおすすめな人
- C4FMの高音質でクリアな音声通信を楽しみたい人
- タッチパネルによる直感的な操作を求める人
- アウトドアなど、タフな環境での運用が多い人
- 周辺にC4FMユーザーやWIRES-Xノード局が多い環境にいる人
どちらの機種も、現代のハンディ機の最高峰と呼ぶにふさわしい素晴らしい性能を持っています。この記事を参考に、ご自身の運用スタイルや環境、そして「どちらのデザインが好みか」という直感を大切にして、最適な一台を選んでみてください。







