大人気ポータブル機IC-705、その魅力に惹かれて購入を検討している方も多いのではないでしょうか?HFから430MHzまでをカバーし、D-STARやWLAN/Bluetooth®にも対応する多機能さは、まさに移動運用の革命児です 。しかし、絶賛の声の裏で、実際に使ってみて初めてわかる「IC-705の欠点」や注意点も存在します。
この記事では、私、ja3cgzが実際に運用して感じたIC-705の5つの注意点と、その具体的な対策を正直にレビューします。購入後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためにも、ぜひ最後までご覧ください。この記事を読めば、IC-705の欠点を理解し、自分にとって本当に最適な一台かを見極めることができるでしょう。
1. IC-705の基本スペックと魅力の再確認

まずは、IC-705がなぜこれほどまでに多くのハムに愛されているのか、その基本的な魅力をおさらいしておきましょう 。欠点を知る前に、その素晴らしい点を再確認することが重要です。
1-1. HFから430MHzまでをカバーするオールラウンダー
IC-705の最大の魅力は、なんといってもその広いカバー範囲です。これ一台で、短波帯(HF)からVHF/UHF(144/430MHz)まで、主要なアマチュアバンドを運用できます。 移動運用先でコンディションに合わせてバンドを切り替えたり、コンテストで複数のバンドに参加したりと、楽しみ方が無限に広がります。まさに「オールインワン・ポータブル機」と呼ぶにふさわしい一台です。
1-2. D-STAR、WLAN/Bluetooth®対応の先進性
IC-705は、デジタル通信D-STARのDV(デジタルボイス)モードや、高速データ通信DD(デジタルデータ)モードに標準で対応しています。 さらに、WLAN(無線LAN)やBluetooth®機能も搭載。これにより、ケーブルレスでPCやスマホと連携し、リモートコントロールや画像の送受信が可能です。この先進性が、従来の移動運用スタイルを大きく変えました。
1-3. 直感的な操作を可能にする大型カラーディスプレイ
ポータブル機でありながら、4.3インチの大型カラータッチパネルを搭載している点も大きな魅力です。 周波数の変更や設定の切り替えが、スマホのように直感的に行えます。特に、リアルタイムスペクトラムスコープとウォーターフォール表示は、バンドの状況を一目で把握でき、空いている周波数を見つけたり、DX局を探したりするのに絶大な威力を発揮します。
2. 【本題】IC-705の5つの欠点(注意点)と具体的な対策

さて、ここからが本題です 。素晴らしい機能を持つIC-705ですが、実際に使ってみるといくつかの「惜しい点」が見えてきます。しかし、ご安心ください。これらの多くは、少しの工夫で快適に運用できる対策が存在します。
2-1. 注意点①:バッテリーの持ちが思ったより短い
IC-705は付属のバッテリーパック(BP-272)で運用できますが、送信出力5Wで連続的にCQを出すような使い方をすると、思ったよりも早くバッテリーが消耗します。特に冬場の寒い環境では、バッテリー性能が低下しやすいため注意が必要です。
【対策】
- 大容量バッテリーの導入: オプションの大容量バッテリーパック(BP-307)に交換することで、運用時間を大幅に延ばすことができます。これは最も効果的な対策です。
- 外部電源の活用: 13.8Vの外部電源端子を備えているため、ポータブル電源や車のバッテリーから給電するのがおすすめです。これにより、バッテリー残量を気にせず10Wのフルパワーで運用できます。
- 省エネ設定の徹底: ディスプレイの輝度を下げる、使わない機能(WLAN/Bluetooth®など)をオフにする、受信プリアンプを適切に使うといった地道な設定も効果があります。
2-2. 注意点②:標準出力5W(QRP)の壁
外部電源なしの場合、IC-705の最大送信出力は5Wです。これはQRP(小電力)運用と呼ばれ、その制約を楽しむ魅力もありますが、コンディションが悪い時や、多くの局がひしめくコンテストでは、パワー不足を感じる場面が少なくありません。
【対策】
- 外部電源で10W運用: 前述の通り、13.8Vの外部電源を接続すれば最大10Wでの運用が可能です。5Wと10Wの差は、相手局にとっては大きな違いになります。
- 高効率アンテナの利用: パワーが非力な分、アンテナの性能が非常に重要になります。できるだけゲイン(利得)の高いアンテナや、SWRがしっかり下がったアンテナを使い、電波を効率よく飛ばす工夫をしましょう。
- 「飛ぶ」時間と周波数を選ぶ: 電波伝搬が良いとされる時間帯(ハイバンドなら昼間、ローバンドなら夜間)を狙ったり、比較的空いている周波数で粘り強くCQを出したりする運用スキルも重要です。
2-3. 注意点③:一部の操作がメニューの奥深くに…
タッチパネルは直感的ですが、逆に言えば、使用頻度の低い機能はメニューの深い階層にあり、アクセスが少し面倒に感じることがあります。例えば、マイクゲインやコンプレッサーレベルの調整など、状況に応じて変えたい設定がすぐに呼び出せないのはストレスになることも。
【対策】】
- 「お気に入り」機能の活用: よく使うメニュー項目は「お気に入り」に登録しておくことができます。これを活用すれば、数回のタップで目的の機能にアクセス可能です。
- ファンクションメニューのカスタマイズ: 画面下に表示されるファンクションメニューは、自分の使いやすいようにカスタマイズできます。よく使う機能をここに配置しておきましょう。
- ショートカットを覚える: MULTIダイヤルや特定のボタンの長押しで呼び出せる機能もあります。説明書を読み込み、自分なりのショートカットを見つけると操作性が格段に向上します。
2-4. 注意点④:スピーカーの音質と音量
本体に内蔵されているスピーカーは、サイズ的な制約もあり、音質や音量に限界があります。特に、屋外の騒がしい場所や、複数の信号が混じり合う場面では、相手の音声が聞き取りにくいことがあります。
【対策】
- 外部スピーカーの接続: 明瞭な音声で聞きたいなら、外部スピーカーの接続が最も効果的です。アイコム純正の外部スピーカーはもちろん、各社から様々なモデルが発売されています。
- ヘッドホン・イヤホンの活用: 移動運用では、ヘッドホンやイヤホンを使うのが基本です。周囲の雑音を遮断し、微弱な信号を聞き取るのに集中できます。Bluetooth®ヘッドホンが使えるのもIC-705の強みです。
2-5. 注意点⑤:オプション品を追加すると意外と高価に
IC-705本体は魅力的ですが、その性能を最大限に引き出すためには、前述の大容量バッテリーや専用のマルチバッグ(LC-192)など、様々なオプション品が欲しくなります。これらを追加していくと、総額が上位機種に迫る価格になることも…。
【対策】
- 本当に必要なものを見極める: 最初から全てを揃える必要はありません。まずは標準状態で運用してみて、自分に本当に必要なオプションは何かを見極めましょう。
- サードパーティ製品の活用: マルチバッグやアンテナ、電源などは、必ずしも純正品にこだわる必要はありません。サードパーティから、より安価で高機能な製品が多数販売されています。賢く選んでコストを抑えましょう。
- 中古品の検討: 状態の良い中古オプション品を探すのも一つの手です。
3. 関連情報と公式サイトへのリンク

この記事で紹介したIC-705に関するより詳細な情報や、公式の仕様はメーカーサイトで確認するのが最も確実です 。特に、ファームウェアのアップデート情報などは定期的にチェックすることをおすすめします。
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最も重要な情報源:IC-705製品公式サイト IC-705の全ての基本情報、仕様、オプション、サポート情報がここにあります。購入を検討している方は、まずはこちらを隅々までご覧ください。 詳細はコチラへ → https://www.icom.co.jp/lineup/products/IC-705/
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ファームウェア・ソフトウェアダウンロード IC-705はファームウェアのアップデートで機能が改善・追加されることがあります 。最新のファームウェアや関連ソフトウェアはこちらからダウンロードできます。 詳細はコチラへ → https://www.icom.co.jp/support/download/firmware_driver/IC-705/
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IC-705を楽しむための情報サイト「IC-705 PORTABLE」 アイコムが運営する特設サイトで、IC-705の活用術やイベントレポートなど、楽しむためのヒントが満載です 。 詳細はコチラへ → https://www.icom.co.jp/lp/ic-705portable/
4. まとめ:IC-705は「買い」か?

今回は、大人気ポータブル機「IC-705」の欠点や注意点に焦点を当てて解説しました 。 バッテリーの持ち、送信パワー、操作性など、いくつかの注意点は確かに存在します。しかし、そのほとんどは対策可能であり、その弱点を理解し、工夫して使いこなすこと自体がアマチュア無線の楽しみの一つとも言えるでしょう。
結論として、IC-705は移動運用をアクティブに楽しみたい全ての方にとって、間違いなく「買い」の無線機です。 この記事で紹介した注意点と対策を頭に入れておけば、購入後のギャップに悩むことなく、IC-705の持つポテンシャルを最大限に引き出し、素晴らしい無線ライフを送ることができるはずです。
私、ja3cgzも、これからもIC-705と共に、山や河原からアクティブに電波を出していきたいと思います。どこかの空でお会いできるのを楽しみにしています!


