今回の記事では、eQSL.ccの登録方法や使い方、カードの作成・送信に関する詳しい手順をご紹介します。
アマチュア無線交信の確認手段として、印刷された紙の交信証が長い間利用されてきましたが、近年の諸事情により、電子QSLはその利便性と効率性からますます注目を集めています。最近では、CQ誌2023年9月号でも特集され、より多くの愛好者が電子QSLを活用するようになっています。
以前の記事では、「【アマチュア無線】電子QSL最新事情~種類とそれぞれの特徴を調査!」において、電子QSLの基本的な魅力や異なる種類の特徴についてご紹介しました。そこで今回は、さらに一歩進んでeQSL.ccの登録方法と使い方、カードの記載方法や保存方法についてご紹介します。
この記事で分かること
- eQSL.ccの特徴とメリット(即時性、コスト効率、グローバルなネットワーク)
- eQSLカードの送り方(ADIFファイルのアップロードや手動入力)
- カードデザインのカスタマイズ方法
- ハムログやJtlinkerとの連携
- eQSL.ccの支払い方法と有料機能の活用
- AG認証プロセスと信頼性の向上
- DXCCアワードの申請方法
- 移動運用時のQSLカード送信方法
- eQSLカードと紙カードの利点・欠点の比較
- eQSLの保存方法
電子QSLについて
電子QSLはアマチュア無線愛好者の間で交信確認の手段として人気を集めています。
電子QSLの詳細は、前回の記事でもご紹介しましたが、簡単に振り返っておきたいと思います。
主要な電子QSLの特徴
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hQSLとは:
他の電子QSL方式と比べてあまり一般的ではありませんが、特定のグループやコミュニティで使用されることがあります。各プラットフォームには特有の機能や利点があり、使用者のニーズに応じて選ばれます。 -
eQSL.ccとは:
インターネットを通じて電子QSLカードを交換する最も広く使われているプラットフォームの一つです。ユーザーはオンラインでログを管理し、他のユーザーとカードを交換できます。無料で基本的なサービスを利用でき、追加機能のために有料のアカウントアップグレードが可能です。 -
LoTW (Logbook of The World)とは:
アメリカ無線リレーリーグ(ARRL)によって運営されているこのシステムは、交信ログのアップロードと確認を行い、DXCCなどの賞のクレジットに利用されます。LoTWは特に競技を意識したアマチュア無線愛好者に人気があります。 -
HAMLOG E-Mail QSL とは:
個人の趣味や技術的興味で作られたシステムで、主にHAMLOGユーザーに限定されています。このタイプの電子QSLは、よりインフォーマルな交信確認手段として機能します。 -
QRZ.comのログ機能とは:
QRZ.comは、アマチュア無線愛好者向けのウェブサイトで、さまざまな機能を提供しています。ログ機能を利用して、QSLカードの交換をサポートします。
eQSLとは?
eQSL.ccはアマチュア無線のQSLカード(無線通信の交信確認として交換されるカード)のデジタル版を交換するためのオンラインサービスです。電子QSLの中でも、世界で最も使われている世界スタンダードなプラットフォームです。
eQSL.ccは、従来の紙のQSLカードに代わる形式で、無線通信の確認を効率的かつ迅速に行うことができます。利用者にいくつかの会員種別を提供しており、寄付によって運営されています。
eQSL.ccの特徴
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サービスの目的: eQSL.ccは、アマチュア無線愛好者間でデジタル形式でQSLカードを交換することを可能にするサービスです。これは、従来の紙のQSLカードの代替として機能し、迅速かつ効率的な通信確認を促進します。
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登録と利用方法: 利用者はeQSL.ccに登録することで、自分の無線通信のログをデジタルQSLマネージャーとしてeQSL.ccに委託する形で管理します。これにより、自動的にQSLカードが発行され、他の無線愛好者と簡単に交換が可能になります。
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メンバーシップと費用: 基本的なメンバーシップは無料ですが、より高度な機能を利用するための寄付制のオプションもあります。これにより、サービスの維持と開発が支援されます。
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セキュリティと認証: 登録時には本人確認が求められ、セキュリティを確保するために免許の確認(AG認証)が実施されます。これにより、交換されるQSLカードの信頼性が保証されます。
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ユーザーサポート: eQSL.ccはサポートフォーラムやFAQページを通じて、利用者の疑問に応答します。これにより、ユーザーはよりスムーズにサービスを利用することができます。
eQSL.ccを使うメリットについて
eQSL.ccを利用する主なメリットは以下の通りです:
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即時性とアクセシビリティ: eQSL.ccはインターネットを介して電子メールと同じように、リアルタイムでQSLカードを交換することができるため、伝統的な郵送方法よりも迅速です。これにより、アマチュア無線愛好者は全世界の通信相手と即座に交信確認が可能になります。
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コスト効率: 物理的なQSLカードの印刷や郵送に比べて、デジタルQSLカードの交換はコストがかかりません。また、基本的な機能は無料で利用できるため、追加の経費を抑えながら利用することができます。
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ユーザーフレンドリー: eQSL.ccは使いやすく、新規登録からカードのデザイン、交換まで直感的に行えます。これにより、無線愛好者は技術的な障壁なくサービスを活用できます。
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グローバルなネットワーク: 世界中の無線愛好者がeQSL.ccを利用しているため、国際的なアマチュア無線コミュニティとの連携が容易です。これにより、異文化間の交流も促進されます。
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セキュリティと認証: eQSL.ccは免許の認証プロセス(AG認証)を提供し、交換されるQSLカードの真正性を保証します。これにより、ユーザー間の信頼性が高まります。
これらのメリットにより、eQSL.ccはアマチュア無線家(SWL)にとってとても価値あるツールとなっています。
eQSL.ccへの登録方法
eQSL.ccへの登録URLは、次のとおりです。パソコンにダウンロードする必要はなく、インターネットにつながる場所ならどこでも使うことができます。
登録サイト
下記のURLをクリックすると、登録画面が開きます。
https://eqsl.cc/qslcard/Index.cfm
それでは、登録を始めて行きましょう!
新規登録をスタート(第1ステップ)
入力を求められている項目に入力していきます。
ここで入力するデータを前もって調べておくとスムーズに入力できます。
- コールサインを使い始めた日 ➡ 免許の年月日
- コールサインの使用を中止した日 ➡ 免許の有効期間
- リグ、アンテナ、アワード、過去のコールサインなど ➡ 必要に応じて入力
- グリッドスクウェア (Grid Square) ➡ 【グリッド・ロケーターを調べる】(JARLのホームページ)で事前に調べておきましょう。
第1ステップが終了して画面を閉じます。後ほど、登録した電子メールアドレスに、自分用の「Signup Code」が届きます。
私の場合は、4ケタの数字でした。
第2ステップ
届いた自分用の「Signup Code」とコールサインなどを登録していきます。
第1ステップが完了後に送られてくる電子メールに案内がありますので、指示通り入力します。とても簡単でした。以下は、その案内の電子メールです。
JA3〇〇〇さん、こんにちは
eQSL.ccサイトのSignup Codeの送信を依頼されましたね。 それは 〇〇〇〇(サインアップコード) です。
https://www.eQSL.cc にアクセスし、登録ステップ 2、Signup Code を入力して登録を完了させてください。
73, eQSL.ccウェブマスター
登録が完了すると次の画面が開きます。
「登録完了!」 と表示されます。
上部の「ログイン」をクリックすると、ログイン画面が表示されます。
登録画面(初回ログインの時だけ登録を求められます)
これで、ログインできるのかと思ったら、もう一段階ありました。初めてのログインの場合だけ、「今すぐ登録」から、追加の登録をしなければならないようです。
「登録完了」すると、いよいよログイン画面が開きます。
いよいよログインです!
ようやくログインできました。
ここで、メニューや設定画面にアクセスできます。
追加登録(別コールサイン、別QTHへの移動時の登録)
例えば、「マイアカウント(My Account)」に入った場合、別のコールサインや別QTHへの移動運用時の登録も可能です。これにより、複数の運用条件を管理できます。
eQSL.ccへの登録についての説明
eQSL.ccへの登録についての動画がいくつか公開されている様です。
その中からJH4PHW 坂井志郎氏の動画をご紹介したいと思います。
坂井志郎氏(JH4PHW)について
坂井志郎氏は、日本の著名なアマチュア無線家です。多くの無線通信関連の活動に積極的に参加しており、特にeQSL.ccの活用に関する講演や、宇宙無線通信に関するセミナーなどで知られています。
坂井志郎氏は、**JAMSAT(日本アマチュア衛星通信協会)**の代表としても活動しており、無線通信技術の普及と教育に貢献しています。また、坂井志郎氏のホームページやTwitterでは、無線に関する情報や活動報告が頻繁に更新されています。
JH4PHW/JA1CUF/WH0P/9V1PWはこちらから>>
eQSLでカードを送る方法は?
eQSL.ccを使用してカードを送る手順は非常に簡単です。以下の方法で、相手局に対してQSLカードを迅速に送ることができます。
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ログイン
eQSL.ccにログインし、ダッシュボードへアクセスします。ログイン後は、送信するカードデザインをカスタマイズすることも可能です。 -
ADIF形式のログデータをアップロード
カード送信の最も一般的な送り方は、ADIF形式のログファイルをアップロードすることです。HamLogやWSJT-Xなどの無線通信ログソフトで生成したADIFファイルをeQSL.ccにアップロードするだけで、交信相手に自動的にカードが送信されます。メニューの「Upload ADIF」をクリックし、ファイルを選択して送信します。注意点: ADIFファイルには全角の文字を入れないようにしてください。英数字のみで構成してください。
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1件ずつ手動で入力
もし、ADIFファイルを使用しない場合は、手動でQSOデータを入力することもできます。ログ画面で、コールサイン、交信日時、周波数、モードなどの情報を一つ一つ入力して送信します。特に移動運用時や少数のQSO、特別な通信の場合には、この方法が便利です。 -
カードデザインのカスタマイズ
eQSL.ccでは、送信するQSLカードのデザインを自分好みにカスタマイズすることが可能です。背景画像やコールサインのフォント、コメントなどを追加して、個性的なカードデザインを作成できます。特に、自分のハムログを通じて交信記録を管理しながら、独自のデザインでQSLカードを送信できる点が、ユーザーにとっての魅力です。 -
送信確認(QSO Confirmation)
カードが送信された後、相手局がそれを確認すると、eQSL.cc内のログに交信が記録され、あなたのアカウントに通知が表示されます。また、交信確認(QSO Confirmation)に基づいて、DXCCアワードを申請することも可能です。DXCCアワードは、多くの無線愛好者が目指す目標の一つであり、eQSL.ccを使うことでこのアワードの取得が容易になります。
eQSL.ccの支払いオプションと特典
eQSL.ccの基本サービスは無料で利用できますが、追加機能を使いたい場合は寄付や支払いによってアカウントをアップグレードすることが可能です。
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有料メンバーの特典: より詳細な交信確認やプレミアムなカードデザインを利用できるようになります。
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支払いオプション: クレジットカードやPayPalを利用した便利な手続きが用意されています。
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高度な機能のアンロック: 支払いを行うことで、eQSL2thwのような特定の高度な機能もアンロックされ、さらなる利便性が提供されます。
ハムログとeQSLの連携
ハムログは、日本国内で多くのアマチュア無線愛好者に使用されているログ管理ソフトです。eQSL.ccとの連携が可能で、HamLogで記録したQSOデータを簡単にeQSL.ccにアップロードして、交信確認を行うことができます。
また、Jtlinkerといった他のログ管理ツールもeQSL.ccに対応しており、デジタルモードのQSOデータをスムーズに管理できるため、eQSLの利用がさらに便利になります。
eQSL(電子QSLカード)の利点と欠点
利点
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即時到着: eQSLはデータ形式で届くため、送信後すぐに相手局に到着します。紙カードのように待つ必要がありません。
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データベースで管理: サーバーに保存されているため、いつでもアクセスして交信履歴を確認できます。検索も簡単です。
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コスト効率: 基本的なメンバーフィーはeQSLにはありません。ブロンズ会員も年12ドルと安価です。
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FT8などからの自動アップロード: FT8などのデジタルモードから直接アップロードできる機能があり、即日カードが届きます。
欠点
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個性の欠如: 定型的なデザインのeQSLでは、紙カードのように各局の個性やコメントが表現できません。
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一部の情報伝達に限界: 細かい情報を伝えたい場合は紙カードが必要です。
紙カードとeQSL、それぞれの利点と欠点を考慮して使い分けることが大切ですね。
eQSLの活用方法とメリット
eQSL.ccの利用には多くのメリットがあります。特に、移動運用中でもリアルタイムにQSLカードを送信できることは、従来の紙カードにはない利点です。
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カードの送り方も簡単: ADIFファイルのアップロードや手動入力で手軽に送信できます。
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プレミアム機能の活用: プレミアム機能を利用すれば、個性的なカードデザインを作成したり、アワード取得に役立つ機能を活用したりできます。
これらの機能を最大限に活用することで、無線通信の楽しみが広がり、世界中の無線愛好者との交流がより充実したものになるでしょう。無線愛好者の間で、DXCCアワードの達成を目指して交信を続ける方にとっても、eQSLは大変価値のあるツールです。
まとめ
eQSL.ccの利用開始に際しては、いくつかのステップを踏む必要がありますが、これにより個々の無線愛好者のニーズに合わせたカスタマイズが可能となります。
登録が完了すれば、世界中の無線愛好者とのQSLカードの交換がいつでも、インターネット環境があれば、どこでも行えるようになります。eQSL.ccはその便利さと効率性で、多くの無線愛好者にとって必須のツールとなるでしょう。
この記事を通して、eQSL.ccへの登録方法やカードの送り方、ハムログやJtlinkerとの連携、DXCCアワードの活用法について理解していただけたでしょうか。ぜひ、eQSL.ccに登録して、世界中の無線愛好者と交信確認を楽しんでください!