アマチュア無線には、声やデータだけでなく、モールス符号を使った「CW(シーダブリュー)」、つまり電信という奥深いコミュニケーション方法があります。最初は難しそうに感じるかもしれませんが、モールス符号の響きには、多くの無線家を魅了してやまない特別な魅力が詰まっています。
1.CW(電信)ってなに?なぜ今も使われているの?
CWとは、モールス符号を使って「トン」と「ツー」という音の組み合わせで文字や数字を表現し、メッセージを伝える通信方法です。無線技術がまだ発展途上だった頃から使われてきた、まさにアマチュア無線の「原点」とも言えるモードです。
デジタル通信が主流の現代において、なぜCWは今もなお多くの無線家に愛され続けているのでしょうか?
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驚くほどの遠距離通信能力: CWは、音声やデジタルモードに比べて、非常に弱い電波でも遠くまで届きやすいという特性を持っています。ノイズが多い環境でも聞き取りやすく、わずかな信号でも交信が可能なため、DX(遠距離通信)に非常に有利です。限られた出力でも、世界の裏側と繋がれるロマンがここにあります。
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シンプルだからこそ奥深い: 使用する帯域幅が非常に狭く、少ない電力で効率的に通信できます。シンプルなゆえに、オペレーターの技術や集中力が問われ、奥深さにハマる無線家が後を絶ちません。
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世界共通の言語: モールス符号は、言語の壁を越えて世界中で理解される共通の「言葉」です。英語が苦手でも、モールス符号さえ覚えれば、地球の裏側の無線家と意思疎通を図ることができるのです。
2.モールス符号の「音」が織りなすコミュニケーション
CWの最大の魅力は、その「音」でコミュニケーションを取るという点にあります。耳を澄まし、飛び交うモールス符号を読み解き、そして自分の指先で符号を紡ぎ出す。この一連の作業は、まさに楽器を演奏するような感覚に似ています。
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熟練の喜び: 最初はゆっくりとした符号から練習を始めますが、練習を重ねるごとに符号のスピードを上げ、流れるようなモールス符号を操れるようになります。この上達していく過程も、CWの大きな楽しみの一つです。
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集中と瞑想の時間: 静かな環境でモールス符号に集中する時間は、まるで瞑想のようです。忙しい日常から離れて、電波と自分だけの世界に没頭できます。
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モールス符号は「歌」: 熟練したオペレーターが打つモールス符号は、まるでリズムを刻む音楽のように心地よく聞こえます。「あの局のCWはまるで歌っているようだ」と表現されることもあります。
3.CW(電信)を始めるには?
CWの運用は、日本のアマチュア無線技士の第3級資格から可能です。
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まずは耳の訓練から: 最初はモールス符号の聞き取り練習から始めましょう。専用の練習ソフトやアプリ、オンラインツールなどが豊富にあります。最初はゆっくりとした速度で、アルファベットや数字の符号を覚えることから始めます。
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「キー」を叩いてみよう: 受信ができるようになったら、次は送信です。符号を送るための「電鍵(キー)」には、縦に叩くタイプや左右に振るタイプなど、いくつか種類があります。自分に合ったキーを見つけて、符号を打ち出す練習をしましょう。
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実戦で経験を積む: ある程度練習したら、実際に電波を出して交信に挑戦です。最初はゆっくりとした速度で交信してくれる局を探したり、CWの練習交信会に参加したりするのも良いでしょう。
私自身も、モールス通信には非常に魅力を感じており、いつか挑戦したいと思っています。一度この世界の扉を開けば、アマチュア無線の楽しみがさらに奥深く、そして広がることを確信しています。
さあ、あなたも「トントンツー」の世界に足を踏み入れて、電波で世界と心を通わせる感動を味わってみませんか?
次回は、さらなる高みを目指す「上級資格チャレンジ」の魅力についてご紹介します。どうぞお楽しみに!